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「阪神クローザー・藤浪の抜擢」こそ後半戦巻き返しの最善策。週1度の先発起用より有効【小宮山悟の眼】

ベースボールチャンネル 7/12(火) 11:00配信

私がもし阪神の投手コーチならば

 阪神タイガースが、オールスターゲームまでの前半戦を最下位で終える可能性が出てきた。

 現在のセリーグは、広島が首位を独走する1強状態。現時点で自力優勝の可能性が消えているとはいえ、阪神にはクライマックスシリーズ進出の可能性が十分に残っている。まだ、シーズンをあきらめて悲観するような時期ではない。

 ただ、個人的には、開幕時に1位広島、2位阪神と順位予想しただけに、その不調ぶりが気にかかることも確かだ。

 打撃陣の不振、若手の経験不足……不調の原因はいくつも考えられるが、絶対的守護神の不在もその一つに挙げられるだろう。

 阪神では今季、開幕から新外国人投手のマテオがクローザーとして起用された。ところが、5月に負傷離脱。藤川球児が9回のマウンドに上がるようになり、交流戦の途中から、同じく新外国人投手のドリスがその座に就いた。そして、マテオが復帰した現在も、ドリスがクローザーを務めている。

 ただ、この体制のままシーズン終盤まで戦い抜けるかは不確定だ。ドリスの投球に、そこまでの信頼感はない。再びマテオと交代する可能性もあるだろう。いずれにしても、昨年まで呉昇桓という絶対的な守護神が在籍していただけに、今季のブルペン陣の不安定さは際立って映る。

 あくまでも仮定の話だが、もし私が阪神の投手コーチで、ピッチングスタッフを編成する立場にあるなら、藤浪晋太郎を抑え役に抜擢したい。

 その理由は至ってシンプルだ。
 チームの中で一番いい投手がクローザーを務めるべき――。
 これが私の持論だからだ。

 まず藤浪本人に「本気で優勝したいか?」と質問する。「どうしても優勝したい」という答えが返ってきたら、「そのためには、君がクローザーをやるしかない」と説得していくだろう。「今季限り」の条件を付ければ、きっと、その必要性を理解してくれるのではないか。

週1度の登板より、週に何度も9回で起用するほうが有効

 野球の試合で、相手から27個目のアウトを奪うことが最も難しい作業だ。そこから逆算するように、26個目、25個目……と難易度は下がっていく。
 言い方は悪いが、先発投手は、のらりくらりと1試合で相手から15個から18個のアウトを奪うのが仕事だ。もちろん、ある程度の失点もあらかじめ織り込み済み。優秀な先発でもせいぜい21個までだろう。

 ところが、22個目のアウトからは、そう簡単には奪えない。短いイニングとはいえ、失点はチームの敗戦に直結しやすい。だからこそ、セットアッパーとクローザーの果たす役割は大きいのだ。

 シーズンを戦い抜くチームを編成する上で、ブルペン陣の整備は真っ先に手を付けなければならない基本ともいえよう。

 現役時代、私自身が長らく先発としてプレーしてきたので、少々言いにくいが、先発投手の代わりは意外と簡単に見つけられるものだ。もちろん、シーズンを通してローテーションを守り、1人で200イニングを投げるような先発は貴重な存在である。しかし、その投手1人だけの不在ならば、何人かの投手で分担してやりくりできるのだ。

 今季の広島がいい例だろう。エースのマエケンがメジャーリーグに移籍したにもかかわらず、特別な補強を行わなかったが、残りの投手たちでその穴を見事に埋めきっている。

 チームの中で一番いい投手がクローザーを務めるべき――。

 現在の阪神の投手陣の中で、藤浪が最もその役に適任だろう。

 藤浪を週1度先発として起用するよりも、週に何度も9回のマウンドに上がってもらうほうがチームにとって有効ではないか。私はそう考えている。



小宮山悟(こみやま・さとる)

1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。


田中周治

ベースボールチャンネル編集部

最終更新:7/12(火) 11:00

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