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フィリピンからのメッセージ「中国に立ち向かいますので応援お願いします」

JBpress 7/12(火) 16:45配信

 (本記事は2014年4月9日に公開されました)

 この半年ばかりの間、東南アジア諸国を何度も巡っていると、友人がたくさんできる。実に嬉しいことだ。

 クアラルンプールから帰国してすぐに、その内の1人から急ぎの便りが来た。フィリピンの若い友人からである。先般、マニラを訪問した際に、中国の海洋進出問題を話し込んだ1人だ。

 ゾイロ君という。フィリピン外務省が頼りにする33歳の新進気鋭の弁護士資格を持つ外交官である。ほとんど1人で、大国、中国に対峙して、国際司法を通じた取り組みを行っている。アキノ大統領が頼りにするのは、こうした若いフィリピン人の活躍なのだ。

 実は、フィリピン政府は、この3月30日に国際仲裁裁判所にフィリピンの主張を示した申述書を提出した。フィリピン政府が提出した申述書は、40以上の地図を含め、4000ページ近くに及ぶものである。

■ 南シナ海に対するフィリピンの歴史的主張

 さて、メールを開けてみると、フィリピン政府が国際仲裁裁判所に提出したばかりの膨大な申述書のエッセンスとでも言える内容である。フィリピン政府による申述書そのものは、いまだ開示されないものであるが、ゾイロ君からのメールには、フィリピンが言いたいことが明瞭に書いてある。

 そして、ゾイロ君によれば、ぜひ日本の皆さんにフィリピンの主張を理解してもらいたいので、なにとぞよろしくお願いしたいと書いてある。頼まれたからには断れない。アジアの同朋への人情だ。

 この場を借りて、その要点を紹介させていただきたい。それは、歴史と法律の2つからなる議論である。

 最初は、中国の南シナ海に対する歴史的な主張に対する、フィリピンによる東南アジア諸民族の歴史的事実を踏まえた正当な反論である。フィリピンの主張は実に明確である。

 ・中国が「九段線」(筆者注:かつて中国の支配が及んでいたとする領域)と呼んでいる歴史的な主張には何ら根拠がなく、南シナ海に対する歴史的な権利を有しない。もし、南シナ海における「歴史的な権利」を主張するのであれば、フィリピンを含めて東南アジアの諸民族こそが、その唯一の権利を有する。

 ・なぜなら、中国はそもそも有史以来、歴史上、南シナ海を活用したことも、また、実効支配したこともないからである。

 ・中国人が、南シナ海に出てくるのは、せいぜい13世紀頃であって、中国は遅れてやって来た人々なのだ。反対に、フィリピン諸島の人々を含めて東南アジアの人々は中国人が来るよりも、1000年も前に海洋交通路として南シナ海を活用していた。

 ・そして、海洋貿易ルートとして中国人が南シナ海を活用したのは短期間にすぎない。決して継続的なものではない。一方で、東南アジアの人々は、古代から現在に至るまで継続的に南シナ海を活用してきている。

 ・南シナ海に対する実効支配の根拠として、中国による「朝貢体制」に依拠することは、誤解である。

 ・「朝貢体制」は、基本的に中国と東南アジアの統治者間の経済的なアレンジメントにすぎない。それは、現代における自由貿易や、市場アクセス合意のようなものである。

 ・それは、中国が、中国の貿易上の利益を促進するために、その使者を派遣する中国のイニシアティブである。東南アジアの統治者たちは、それに応えるか、時折、競合もした。なぜなら、彼らは、中国市場へのアクセスを求めたからである。

 これが、フィリピンの歴史に関する主張のごく簡単な要点である。もちろん、各論については、膨大な歴史資料と欧米の歴史家の評価が添付されている。

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最終更新:7/14(木) 20:00

JBpress

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