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バングラテロの現場になぜ中国人はいなかったのか

JBpress 7/12(火) 6:10配信

 7月1日の夜、バングラデシュの首都ダッカ中心部のレストラン「ホーリー・アルティザン・ベーカリー」を、武装した男たちが銃で襲った。穏健なイスラム教国であり、親日的とされるバングラデシュで、日本人7名の命が奪われた。

■ ダッカの治安はどんどん悪化していた

 この凄惨な事件が起こる数週間前、筆者はダッカから帰国したばかりの大学教授と面会していた。その教授はバングラデシュ出身で日本国籍を持ち、研究のためにバングラデシュと日本の間を頻繁に行き来している。

 教授は筆者に直近のダッカの様子を教えてくれた。教授曰く、経済成長が目覚ましく、街は活気にあふれている。その一方で、治安はどんどん悪化しているという。

 「日本大使館からは『できるだけ外を出歩くな』『外出時は必ず車を利用せよ』と念を押されました。日本政府はバングラデシュの治安に相当神経質になっている様子でした」

 そこで教授は身の安全を考慮し、アクセスに便利だった常宿から別のホテルに移動したのだという。

 これは決して行き過ぎた反応ではない。ダッカでは教授が滞在中のたった2カ月半の間に、3件の殺人事件が起きている。大学教授のほかにイスラム過激派を批判した学生、性的少数者を読者に持つ雑誌の編集者が命を落とした(被害者はいずれもバングラデシュ人だった)。子どもの誘拐も増えているという。

 2015年に発生した外国人殺害事件も記憶に新しい。2015年9月、バングラデシュの教会団体に所属するイタリア人男性が銃で撃たれて死亡した。また10月には、バングラデシュ北西部のランプル県で農業指導を行っていた日本人が射殺された。この事件に関しては、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出している。

 こうした経緯から、外務省はバングラデシュへの渡航に関する危険情報を「レベル2」に引き上げ、不要不急の場合は渡航を中止するよう呼びかけていた。

■ チッタゴンでも「外出の際は必ずガードマンを」

 バングラデシュ第2の都市であるチッタゴンでも警戒が高まっていた。

 バングラデシュでは6月に入り、イスラム過激派組織の一斉捜査・逮捕が始まった。これと前後して、チッタゴンで痛ましい事件が起きた。過激派組織の取り締まりという任務を受けた警察官の妻が、子どもを学校の送迎バスに乗せる途中に暴漢に襲われ、9カ所を刺されて死亡したのである。

 チッタゴンに拠点を持つ日系企業幹部は、「たった数百メートルの移動でも外出の際はガードマンをつけている」と治安の悪化ぶりを語る。

 もっとも、バングラデシュで外出時に警戒が必要なのは今に始まったことではない。この幹部は次のように続ける。

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最終更新:7/12(火) 15:50

JBpress

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