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世界の民泊(Airbnb)規制はどうなっている!? もう誰もが無関心でいられない民泊解禁対策

HARBOR BUSINESS Online 7/12(火) 16:20配信

 日本よりも先行して民泊(Airbnb)が国中に拡がり、結果的に壮大な社会実験が進んだ国々では、民泊賛成派、反対派、一部制限付き賛成派が入り乱れ、市民の声や関連業界の熾烈なロビー活動を経て次々と民泊規制と罰金ルールが施行されている。またこの過程で、Airbnb絡みの訴訟も多発している。

 日本でも、昨年末から行われている管轄官庁と有識者及び関係者による『「民泊サービス」のあり方に関する検討会』で話し合われ、まとめられた内容が6月2日に閣議決定(※リンク先pdf)された。

 今後これを元に法案化、年度内の議会通過を目指しており、早ければ来年早々、遅くとも3月~4月には全国的な民泊の解禁が一定のルールの下に施行されることとなる。

◆予想されるトラブル

 閣議決定の中で特筆すべきは以下の3点。

「180日以下」という指針が示されたこと、地目が民地である一般的な住宅街でも民泊が営業できること、そして「地域の実情に応じて条例等により実施できないこととすることも可能とする」という一文だ。

「180日以下」というのは、あくまでも180日というわけではなく、諸外国の例を参考にしながら上限を180日として180日以下の日数で規定するという意味であることを確認しておきたい。

 これが施行されると、どこにでもある普通の住宅街、マンションやアパート等の集合住宅で民泊が始められるようになる。気が付けば、戸建てでもマンションでも両隣で民泊を始めてご近所トラブルということも他人事ではない。LCCを利用する訪日外国人などは、夜中の25時に到着、明け方3時半にチェックアウトということも珍しくはない。ガラガラとスーツケースを引きながらその時間帯に出入りされるだけでもトラブルが起こるのは容易に想像がつく。

 セキュリティ面も不安材料だ。マンションで、たった一戸が民泊を始めるだけで、オートロックの番号を、年間で700人近くになるであろう入れ代わり立ち代わり出入りする見ず知らずの非居住者が知ることになる可能性がある。これではもう、オートロックがセキュリティの意味をなさないだろう。

 以下に世界の民泊規制例と罰金制度を列記するので、是非とも参考にしてほしい。日本よりも何年も先に民泊(Airbnb)が浸透した状況を踏まえ、世界が民泊にどう対処しているかの道しるべとなるだろう。

◆民泊先進国はどう対応している?

※現在の最新版とは多少違ったり、現在更なる規制改革中のものや係争中の例もあるので暫定版として参考にしてほしい。また以下にご紹介していないが、ごくごく少数ながら民泊(Airbnb)に対して規制ではなく更なる推進を促す法令が施行されている例もある。

【アメリカ】

サンタモニカ市:貸し主不在民泊の禁止。これにより80%の民泊排除を目指した。民泊オーナーはビジネスライセンスの取得が必要。宿泊税14%徴収を義務づけ。違反には500ドルの罰金。

マイアミ市:特定地域での1日以上180日までの短期貸しを禁止。営業するにはライセンスが必要。違反の場合、宿泊者は追い出され、ホストには罰金。

サンフランシスコ市:オーナーが居住しない民泊は、1回の滞在が30日までで、かつ同一物件での営業は90日まで。

ポートランド市:一戸建ての民泊のみOKに。180ドルの登録申請料。宿泊税の徴収。物件検査を受けること。ただし、一戸建てであっても年間に9カ月以上のオーナー不在でまるごと貸すことや、商業宿泊施設と同等の基準を満たせないマンション利用の民泊は不可。

【カナダ】

バンクーバー州:ホテル事業者等のプロ以外が、自宅等を30日未満の短期貸しすることを全面的に禁止。

【イングランド】

ロンドン市:年間90日まで

【フランス】

パリ市:パリ市では、観光客向けの民泊で物件不足と家賃の値上がりを懸念。1年間に4ヶ月までの民泊には届け出義務。さらなる長期貸しをするなら、同じ面積のアパートを同区に用意することを義務づけ。(詳細は、http://hbol.jp/95025を参照)

【ドイツ】

ベルリン市:無届での民泊営業を禁止。その後、2年間の暫定期間を経て、フラットと呼ばれるマンションやアパート等の集合住宅での民泊営業が2016年5月より全面的に禁止された。違反者の民泊オーナーには、10万ユーロ(約1200万円)の厳しい罰金。

ハンブルグ市:民泊オーナーが年間に6カ月以上居住していること。あるいは建物50%以上を占有していること。この場合のみ民泊営業化。

◆各国とも細かい「規制」が

【オランダ】

アムステルダム:民泊オーナーが主たる本拠地として住宅を使用している物件のみ、年間60日までで1泊は4名まで。

【オーストラリア】

クイーンズランド州とビクトリア州での2州のみ短期貸しの民泊がOKだが、パーティーハウスとしての利用は別の法によりニューサウスウェールズ州も含め3州で禁止。

【スペイン】

バルセロナ:自治体の許可が必要。利用者へのサービス保証。利用者身分証の登録と警察への情報提供。

マドリード:マドリード観光局に事業に関する要件保有の宣誓書を提出。物件所有者による直接貸し出しのみ。トータルで年に3か月以上営業すること。1宿泊者の滞在が5日以上であること。

【シンガポール】

シンガポール:住居の6カ月間未満の賃借は禁止。

【韓国】

観光振興法施行令等に「外国人都市民泊業」を規定。外国語案内が可能な環境と消火器や感知器設置が求められる。

◆民泊解禁日を前に早急な対応策検討を

 日程的には早ければ来年1月からの民泊法案施行もありえる状況が示されている中で、各区・市・町・村・議会や町内会、マンションやアパート等の集合住宅では管理組合で早急に話し合いを始める必要がある。回を重ねある程度の話を進めておかないと、民泊解禁日に間に合わなくなる可能性もある。

 仮に地域ごとの規定を躊躇していると、その間に一気に民泊(Airbnb)が流入して増えることだろう。これは今までの違法状態の民泊とは違い、国が推進する合法な民泊だ。合法に開業されてしまった民泊業を後から止めてくれ、止めないなら出て行ってくれと言っても、収入補償問題の係争にもなりかねない。

 1日も早く、議会や地域や集合住宅の管理組合で話し合いが必要とされるだろう。

※参考資料

厚生労働省「民泊サービス」のあり方に関する検討会提出資料

規制改革会議 民泊サービスに係る諸外国における関連規制の概要 他

〈取材・文/向井通浩〉

250軒以上の安宿を網羅した国内最大のバックパッカー&ゲストハウス宿リンクサイト「ジャパン・バックパッカーズ・リンク」代表、ジャーナリスト。インバウンドとその周辺事情に精通している。

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最終更新:7/12(火) 16:20

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