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「声を上げるのは不満がある人ばかり」という法則。 (塚崎公義 大学教授)

シェアーズカフェ・オンライン 7/13(水) 5:41配信

「教室が寒い」という学生がいても、クーラーを切る前にアンケートをとるべきです。直ちにクーラーを切ると、黙っていた学生たちが「暑い」と言い始めるかもしれないからです。

このような「声を上げるのは不満がある人ばかり」という法則はあらゆる場面で遭遇します。

■低金利で困っている人だけが声を出す
昔、ある政治家に高齢者が陳情しました。「低金利だと金利生活者が苦しいので、金利を上げて欲しい」というのです。それを聞いた政治家は、「もっと金利を上げるべき」と発言したのです。金利は日銀総裁が決めるので、政治家が金利に口を出すのは越権行為なのですが、その問題は忘れておきましょう。

政治家の発言を聞いた選挙区の中小企業が、怒鳴り込みに来ました。「金利を上げたら、中小企業の経営が成り立たない」というのです。彼等は、低金利に満足していたから黙っていたのであって、金利に関心が無かったわけではないのです。

政治家としては、低金利に不満を言う陳情者がいたら、「黙っている有権者は低金利に満足しているかも知れない」と考えてみるべきだったのです。言うは易く、行なうは難し、ですが。

■円高時は輸出企業が、円安時は輸入企業が声を出す
円高(=ドル安)になると、輸出企業が声を出します。「円高で我が社は赤字だ。ボーナスは出せない。部品会社にも値下げしてもらわないと」というわけです。一方で、輸入企業(輸入減材料を多く使う企業、以下同様)は黙っています。「円高で材料費が浮いて儲かって仕方ない」などと言うと、社員から賃上げ要求が、部品会社から値上げ要請が来るからです。悪くすると税務署も来るかも知れませんし(笑)。

そうなると、人々の声を聞いている人には「円高で輸出企業が打撃を受け、日本経済は大不況だ」と感じられます。実際には、日本は輸出と輸入が大体同じ金額なので、輸出企業が苦しい分だけ輸入企業が助かっているのですが、聞こえて来る声だけから判断すると、そうは感じられないのです。

時が流れ、ドル高円安になると、今度は輸入企業が「円安で我が社は赤字だ」と声を出し、輸出企業は黙りますから、聞こえて来る声だけから判断すると、円安でもやはり日本経済は大不況だと感じられるわけです。そんなはずはありませんね。

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最終更新:7/13(水) 5:41

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