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映画『アトムとピース』から考える、被爆地から見た核との向き合い方

ローリングストーン日本版 7/13(水) 18:00配信

ローリングストーン日本版2016年8月号掲載
SAVE HUMANITY: 松永瑠衣子 [小学校教師] × 鈴木達治郎 [長崎大学核廃絶研究センター長]

【写真あり】映画『アトムとピース』から考える、被爆地から見た核との向き合い方

長崎・被爆3世の松永瑠衣子が、福島や六ヶ所村などの原発関連の土地を訪問しながら、日本における核の在り方に迫るドキュメンタリー映画『アトムとピース』。彼女と、同じく映画に出演する長崎大学核廃絶研究センター長の鈴木達治郎さんが語る、被爆地から見た核との向き合い方とは?

−本作は、瑠衣子さんが原発関連の場所へ訪れた記録と共に、日本の核の歴史が描かれていますが、被爆地の長崎・広島と福島が本質的には同じだいうことが浮き彫りになったと感じました。

松永:そうかもしれません。私が大学1年の時に福島原発事故があって、翌年7月に福島の子どもたちを長崎に呼ぶプロジェクトで福島県の久之浜へ行き、今回、映画の撮影で再訪しました。最初に久之浜へ行った時に、地震の後に起きた火災の写真を見せてもらったんですが、原爆資料館で見た長崎の被曝した時の写真と重なって見えたんです。長崎も広島も原爆の投下によって、一瞬にして街も生活も命も破壊された。原発事故は爆弾じゃないけれど、その土地に住めなくなる人たちがいて、放射能で人々が苦しめられる面では一緒だと思ったのが素直な気持ちでしたし、再訪した際にも同じことを思いました。


鈴木達治郎に「日本にプルトニウムが47トン存在する理由」を尋ね、核燃料サイクルの解説を受ける瑠衣子。

−それもそのはずで、そもそも日本に原発ができたのは、米ソ冷戦時代に国際的に問題にならないように、アメリカが同盟国である日本に平和(ピース)を装って、原子力(アトム)を持たせたわけで。・・・と、いう解釈は、鈴木先生、合っていますよね?

鈴木:そんなに間違ってはいないです。日本語では核と原子力という言葉を使っていますが、英語では両方同じ"アトム"です。これは核の悪いイメージを覆い隠すための策ですよね。結局、アメリカは核技術の恐ろしさを一番よく知っていたから、なんとかそれを閉じ込めたい、と同時に独占したいという思いがあった。ところがソ連がそれに反対し、独占することはできないとわかった。それでアメリカは核の技術を他国に与えることで、自分たちのコントロール下に置こうとした。そういう国際政治的な側面と、一方で技術屋的には核をうまく使うことも人間の知恵だというところが一致して"アトムズ・フォー・ピース(核の平和利用)"が掲げられたのです。

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最終更新:7/13(水) 18:00

ローリングストーン日本版

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