ここから本文です

【アクチュアリー】保険や年金から経営管理まで多岐にわたる活動分野 確率・統計で将来を測り、リスクに備える

日本の人事部 7/14(木) 7:30配信

米求人サイトの「CareerCast」が、全米200種類の職業の中から、労働環境や収入面などを総合的に評価して選んだ2015年の職業ランキング(The Best Jobs of 2015)において、堂々1位にランキングされたのは、日本ではあまりなじみのない職種だった。「アクチュアリー」――確率・統計などの手法を用いて不確定な事象を扱う保険数理・年金数理のプロフェッショナルである。「人生、一寸先は闇」とよく言われるが、変化の激しい時代だからこそ、予測し難い将来を予測する知恵とスキルに、なおさら期待が集まっているのかもしれない。

始まりはイギリス、万一の不幸を支え合う仕組みから

「いつ起こるかはわからないけれど、確実に起こる出来事」といえば、何を思い浮かべるか。現在の日本なら“大地震”を連想する人も多いだろう。しかし古今東西を問わず、万人に共通するのは“死”に違いない。17世紀の英国・ロンドンのある地域で、仲間に万が一の不幸があっても葬式代や遺族の生活保障が賄えるよう、皆で毎月一定額を集める互助制度が生まれた。誰かが亡くなるたびに組合員が減り、若い組合員たちの負担が増したため、この制度は10年ほどで廃止されたが、その数十年後、同じ英国で、今度は若者も高齢者も一律の料金を支払うのではなく、加入者の年齢や加入年数に応じて月々の支払額が変わるという新しいシステムが考案された。近代的な生命保険の始まりである。これを事業化する過程で、必要不可欠な職種として生まれたのが、適正かつ合理的な保険料を計算するために、確率論や統計学から当時の死亡率を解析し、個々の加入者のリスクを測定する専門家。彼らこそが、世界で初めて「アクチュアリー」と呼ばれた人々だ。

「アクチュアリー」とは、確率や統計などの数学的手法を用いて、将来のリスクや不確実性の分析・評価を行うプロフェッショナルのことで、上述のように保険分野で成立・発展した経緯から、日本語では「保険数理士」や「保険数理人」などと訳される。個人にとっても、組織や社会にとっても、将来はたえず不確定。希望もあれば、万一のリスクもつきまとい、そうしたリスクが顕在化すれば、人々は精神的・経済的に多大な負担を強いられる。人の寿命や病気、事故に至る確率など、予測し難い将来の出来事の発生確率を膨大なデータに基づいて評価し、どうすればそのリスクを軽減できるのか、あるいは顕在化したリスクの影響にどう対応すればいいのか、というところまで知恵を絞るのが「アクチュアリー」の役割だといっていい。

伝統的にアクチュアリーが活躍する業界は「生保、損保、年金」の三分野。生命保険会社、損害保険会社、信託銀行の年金部門、社会保険を担当する官公庁(厚生省、厚生労働省、公的共済組織等)などに所属して、保険・年金の料率設定や決算などに関わる保険数理・年金数理業務をはじめ、商品開発やリスク管理分析、長期計画策定に携わっている人が多い。しかし、近年は伝統的な分野だけでなく、企業の経営管理やリスクマネジメントなどの場面においても需要が高まりつつある。例えばM&Aに際して、相手企業の価値を評価したり、市場リスクを予測したりするなど、高度な専門知識を有するアクチュアリーが求められるフィールドは拡大する一方だ。外部コンサルタントとして保険会社などの収益管理に関するコンサルティングを行うアクチュアリーや、監査法人に所属して中立的な立場から外部監査に携わるアクチュアリーも増加中。米国では日本に比べ、コンサルティング会社で働くアクチュアリーの割合が多いという。

1/3ページ

最終更新:7/14(木) 7:30

日本の人事部

記事提供社からのご案内(外部サイト)

日本の人事部

株式会社アイ・キュー

毎週更新

無料

日本最大のHRネットワーク。企業研修、採用
、評価、労務などのナレッジコミュニティと
して、イベントや雑誌などと連動しながら
「人・組織」に関する課題解決をサポート。

なぜ今? 首相主導の働き方改革