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名優たちの“セカンドライフ” #012「ディディエ・ドログバ」

footballista 7/14(木) 18:30配信

月刊フットボリスタ第35号より

#012 from CANADA
Didier DROGBA
ディディエ・ドログバ
(モントリオール・インパクト/元コートジボワール代表)


“青の11”背に。どこに行ってもキングはキング

 昨年夏、プレミアリーグ優勝を置き土産に愛するチェルシーを離れたドログバが、MLSの複数クラブから誘いを受けた中で選んだ新天地はモントリオール・インパクトだった。ホームタウンであるカナダのモントリオールが母国語のフランス語圏だったことや、同クラブで2013年までプレーした元イタリア代表DFネスタの親身な助言が決め手となった。かくして、クラブに三顧の礼で迎えられたドログバは、37歳にして新たなキャリアへ踏み出した。

 かつてと同じ“ブルーの11番”を託されると、加入後初先発のシカゴ・ファイアー戦でいきなり吠えた。右足、左足、頭で3発を叩き込み、チームを4-3の勝利に導いたのだ。そして試合後、ハットトリックのヒーローは迷うことなくこう宣言。

 「ファンが素晴らしかった。マン・オブ・ザ・マッチのトロフィーは彼らのものだ」

 この熱いセリフで、モントリオールのファンはがっちりと心をつかまれた。

 最終的に、1年目はレギュラーシーズン11試合11得点。加入前はプレーオフ圏外にいたモントリオールを東地区3位まで浮上させ、ポストシーズンに当たるMLSカップでもゴールを奪った。さらに、MLS「ニューカマー賞」の投票では元イタリア代表のジョビンコに次ぐ2位に。やはり、キングはどこに行ってもキングである。


■序盤戦、出場を阻んだ「人工芝」


 とはいえ、もう若くはない。広大なアメリカ大陸の移動による疲労は他の選手よりも骨身にこたえるし、歴戦の勲章でもある慢性的な膝の痛みという厄介な問題も抱える。実際、3月に開幕した今シーズンは「プレーすると膝が腫れ上がってしまう」という人工芝のピッチでの試合が続いた序盤戦は出場を回避せざるを得なかった。

 それでも、4月の第6節シカゴ・ファイアー戦で華麗なバックヒールを決めて今季初ゴールをマークすると、4月末から5月末にかけては4試合連発。やはりピッチに立てば存在感は絶大だ。とりわけ3-2で勝利したLAギャラクシー戦では、終了間際に見事な無回転FKで決勝弾を挙げ、ファンを興奮の絶頂へと誘っている。

 新シーズンも豪快にネットを揺らす姿を見て、サポーターはさぞかし安心したことだろう。というのも、ドログバはシーズンオフ期間中に、チェルシーからコーチ入閣を請われていたからだ。昨年末にモウリーニョを解任し、再建を目指す古巣からの救援要請には心が揺らいだに違いない。だが、それでも現役にこだわり、男気を見せてクラブとファンに忠誠を誓ったのだ。そんなモントリオールとの現行契約は今年末まで。その先のことは本人もまだ明言していないが、いよいよ現役を退く可能性は高い。しかし、少なくともあと半年の間は、モントリオールの悲願であるMLS初優勝のために粉骨砕身するはずだ。欠場続きだったシーズン序盤、一部で「プレーしたくないのでは?」という嫌みな声が挙がった際の反論も、そのことを物語っている。

 「シーズンは長い。ここでリスクを冒すことはない。僕はプレーし、勝つためにここにいる。チームが昨季よりいい結果を出すためなら、何だってするつもりさ」

 欧州で数々の勝利を味わってきたアフリカ最強の点取り屋は、貪欲に栄光を追い求め、今日もアメリカ大陸で戦っている。

(文/寺沢 薫)



■プロフィール
ディディエ・ドログバ
(モントリオール・インパクト/元コートジボワール代表)
1978.3.11(38歳)
188cm / 80kg FW COTE D' I VOIRE

1998-02 ル・マン (FRA)
2002-03 ギャンガン (FRA)
2003-04 マルセイユ (FRA)
2004-12 チェルシー (ENG)
2012-13 上海申花 (CHN)
2013-14 ガラタサライ (TUR)
2014-15 チェルシー (ENG)
2015- モントリオール・インパクト (CAN)

最終更新:7/14(木) 18:30

footballista

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