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農家出身、目指すは宇宙で食料生産![私がこの起業家に投資した理由]

Forbes JAPAN 7/14(木) 8:30配信

北島正裕、安田瑞希が2014年3月に創業したファームシップは、(1)植物工場事業者のための収益化ソリューションを提供する「植物工場事業」、(2)首都圏、関西圏への販売ネットワークを活かした仕入販売や物流網の構築などを行う「農産物流通事業」、(3)生産工程、生産数量、需給に関するビッグデータ解析などを行う「農業データサイエンス事業」の3つを事業の柱としている。15年に完成した、国内最大級の完全閉鎖型植物工場(静岡県富士市)では、企画、設計、運営まで携わっている。



岡橋寛明が代表取締役 パートナーを務める、京都大学と連携しているベンチャーキャピタルのみやこキャピタルは15年7月、同社に投資を行い、事業展開を支援している。

岡橋:出会いは、14年春の創業直後。安田さんの元の職場の上司が友人で、「並々ならぬ野心と情熱を持った起業家がいる」と紹介されお会いしたのが最初でした。

我々は、最先端の技術研究開発成果などを利用しているベンチャーに投資するという方針があり、投資対象分野も決めています。しかし、最終的な判断は、起業家と経営チーム。その意味で、安田さん、北島さんの経営チーム、二人とも回り道をした経験を持っている成熟した起業家ということは大きかったですね。

安田:私と北島はともに農家の家系で育ち、明治大学農学部時代からの10年来の友人。友人と起業するとうまくいかないと言われていますが、私たちは急がば回れを意識して、ステップを踏んできました。米国農業法人に就業し、26歳時に帰国してからはビジネスパートナーとして、起業に向けてコミュニケーションをとっていきました。その後、私は公認会計士資格を取得し、監査法人、外資系メディアなどを経て、準備から7年後の33歳時に起業しました。

北島:私は大学院、大手信販会社、植物工場の工場長など、安田とは異なるキャリアを歩み、技術は私で、ファイナンスは安田など、双方の強みを活かして役割分担しています。

我々が「農に学び、農を創る」をキーワードにしているのは、伝統的な農業・食文化を重んじ、これまでの農業のいい所をいかに活かしていくかが大切だと思っているからです。技術だけで「農を創りたい」と言っても、伝わりません。農家の人たちも一緒にやろうとはなりませんから。

岡橋:農業などのモノづくりの現場をともなうビジネスモデルは、直ちに収益化が見込まめません。関係者が多く、かつ、息が長い事業だからこそ、いかに段階を踏めるか、が重要です。ただ、こうした地に足のついた事業こそ本当に世の中に必要とされ、彼らのような地に足のついた起業家でなければできないと思っています。

安田:今後は、完全閉鎖型植物工場の第二弾、第三弾が進行中です。植物工場の生産・運営管理システム「ファームポート」についても、原価管理・生産性分析や労務管理などの機能を追加予定で、蓄積データを露地栽培にも活用できるようにしたい。また、農産物のサプライチェーンを最適化すべく、生産者と流通をつなぐ「コンチネンタル」という受発注ツールも開発しています。さらに、コンテナ型植物工場もインドネシアの財閥グループと合弁会社を設立し、同国で事業展開予定。3つの事業それぞれでエッジをたてながら、成長していきたいですね。

北島:ファームシップの「シップ」は船です。国内だけでなく、海を越え、グローバルで農業のあり方を変えていきたいと思っています。将来は、空へ、宇宙へと農業・食料生産の可能性を広げることができれば、これほど面白い仕事はないですね。

おかはし・ひろあき◎みやこキャピタル代表取締役パートナー。東京大学経済学部卒業。コロンビア大学経営学修士課程(MBA)修了。経済産業省、複数のベンチャー企業経営、三井住友海上キャピタルを経て、現在に至る。投資先は、お金のデザイン、エイベック研究所、FLOSFIAなど産学連携関連が主で、投資および経営支援に従事している。

やすだ・みずき◎ファームシップ代表取締役。明治大学農学部卒業後、米国農業法人、大手監査法人、外資系メディアなどを経て、2014年3月ファームシップ創業。

きたじま・まさひろ◎ファームシップ代表取締役。明治大学大学院農学専攻修了。大手信販会社や外資系体験ギフトサービス会社、大規模植物工場の工場長などを経て、同社創業。

Forbes JAPAN 編集部

最終更新:7/14(木) 8:30

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