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潜水艦3隻購入で中国に取り込まれるタイ海軍

JBpress 7/14(木) 6:10配信

 タイ国防大臣(副首相を兼任)であるプラウィット陸軍大将(退役)は、タイ海軍が中国から潜水艦を3隻購入するための予算案の認可を閣議に提出した。

日本の海上自衛隊のはるしお型潜水艦

 タイ海軍は過去数年間にわたって潜水艦を購入する試みを続けており、2015年夏にも、プラウィット国防大臣が中国から潜水艦を購入する計画を決定している(本コラム2015年7月2日)。しかし、タイ軍事政権による最終認可を得ることができず、潜水艦購入計画は最終段階で“逆転撤回”という結果になったという経緯がある。

■ 10年ローンで購入可能に

 昨年の潜水艦購入決定をタイ政府が白紙にした最大の理由は、タイの国家予算にとって潜水艦はあまりに高額すぎるということであった。今回再びタイ海軍が購入する方針を打ちした中国の「元型S26T」潜水艦の価格は1隻120億バーツ(およそ342億円)とされており、高い買い物であることに変わりはない。

 しかしプラウィット国防大臣は、中国が提案しているS26T潜水艦の性能や耐用年数(もちろん“カタログデータ”ではあるが)から判断すると、1隻あたり120億バーツのパッケージ「360億バーツ」は決して高額すぎるわけではない、と主張している。

 加えて、今回の中国側との取引は、11年間に分割して支払う方式になるという。そのためタイ財政を決定的に圧迫するほど高額な予算というわけではない。したがって、プラウィット国防大臣ならびに海軍側は、今回の潜水艦調達計画は、予算的には閣議の承認を得られるものと考えているようである。

 また、費用の面で考えると、タイ海軍はすでに5億4000万バーツ(およそ15億4000万円)の予算を投じて、潜水艦要員訓練センターや潜水艦関連施設の建造を完成させている。したがって、速やかに潜水艦の調達を行わなければ、これまでに潜水艦運用に向けて投資した費用を無駄にしてしまうことになる。

■ なぜタイに潜水艦が必要なのか

 昨年、タイ政府が最終段階で潜水艦購入を撤回した際の、もう1つの大きな理由は、タイ湾は潜水艦が効果的な作戦行動を行うには浅すぎるうえ、タイは潜水艦による防衛作戦が必要な脅威に直面していないのでタイ海軍が潜水艦を装備する必要性が低い、ということであった。

 これに対して、タイ海軍が購入しようとしている中国製潜水艦は、浅海域での作戦行動にも対応しているし、タイ周辺諸国は潜水艦戦力の構築を進めておりタイ海軍だけが潜水艦を保有していないわけにはいかない、と潜水艦調達の必要性が指摘されている。

 実際にタイ周辺諸国では、マレーシア海軍が、フランスとスペインが共同開発したスコルペヌ型潜水艦を2隻取得した。また、シンガポール海軍はスウェーデン製のチャレンジャー型潜水艦2隻と同じくスウェーデン製のアーチャー型潜水艦2隻を運用している。

 インドネシア海軍はドイツから2隻の潜水艦を取得して、さらに10隻以上の潜水艦を調達する予定である。さらに、ベトナム海軍はロシアのキロ型潜水艦6隻の配備を進めている。そして、タイの隣国ミャンマーですら潜水艦調達計画が進んでいる。

 このように、タイの周辺諸国の海軍がそろって潜水艦を保有している、あるいは手にしようとしている現状に鑑みると、タイ海軍だけが潜水艦を保有しないのはタイ海軍にとっては耐えられない状態ということになる。

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最終更新:7/14(木) 6:10

JBpress

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