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ちゃぶ台返しも?英国では何が起きるか分からない

JBpress 7/14(木) 6:15配信

 衝撃的な結果となった英国のEU離脱(ブレグジット=Brexit)を問う国民投票から数週間が経過しました。辞任を表明したキャメロン首相の後継者はいまだ決まっていませんが、私が住むロンドンの雰囲気、そして報道から感じられる国内の様子は、大分落ち着いてきたように感じます。

 (注:本稿の執筆後、メイ内相の首相就任が決定しました。本稿末尾の「追記」をご覧ください)。

■ 結果を覆そうというロンドンの動き

 ブレグジットを巡る景観は、ロンドンとその他では全く異なります。投票の結果からも明らかなように、ロンドン周辺、一部の大都市そして元々は別の国であったスコットランドや北アイルランドを除けば、英国の広い範囲で離脱派が多数を占める結果となりました。残留派の勝利という事前予想を覆したこと、そして高い投票率に照らすと、この結果は、僅差での勝利などではなく、離脱派の大勝利と見ることも十分可能ではないでしょうか。

 結果を受けて、キャメロン首相は、繰り返し、国民投票の判断を尊重しなければならないという趣旨の発言を行いました。現在の保守党党首の候補者らも同様です。しかし、このような発言が重ねられることは、なんとかして結果を覆そうという動きがあることの裏返しでもあります。

 ロンドンには多数の一流大学が所在しています。これらの大学で多数を占めるのは、英国の学生ではなく、EU圏内をはじめとする世界各国からの留学生。英国の主要産業である金融業界や、それらと二人三脚で歩む法律・会計といった専門職も、EU全域から才能と野心を兼ね備えた人材を引き寄せています。

 ロンドンの都市生活の基盤も、移民に支えられています。例えば掃除。日本と異なり、ロンドンには建物の内外を問わず至る所にゴミ箱が用意されており、市民はいつでもゴミを捨てることが可能です。それが当たり前だからでしょうか、ポイ捨てをする人も珍しくはありません。このゴミを収集し、町を清掃する人の多くは、世界各地からの移民たちです。

 英国人、EU市民を問わず、ロンドンの住人の多くにとって、英国がEUに属することの利益は疑いの余地はないものでした。結果を受け入れられない彼等の一部は、ロンドン中心部で大規模なデモを行ったり、訴訟を計画するなど、様々な方法で結果を覆そうとしています。

 このように、ロンドンを中心とした視点からは「ブレグジットは妥当性を欠くので覆されるべきであり、現にそれは可能なのだ」という雰囲気が感じられます。ボリス・ジョンソン前ロンドン市長の「逃亡劇」や、UKIPファラージュ党首の辞任、そして保守党党首選におけるゴヴ候補への低い支持といった離脱派の状況も、この空気に輪をかけています。

■ 国民投票の結果は「強制はされないが無視はできない」

 国民投票の法的意義について、政府は、この投票に法的拘束力はなく、アドバイスとしての役割に留まると一貫して説明してきました。

 この意味を正確に理解するためには、英国の憲法をすこし紐解かなくてはなりません。

 英国の憲法は、よく「不文憲法」と言われることがあります。ただし、これは、国の根幹をなすルールの全てが書かれていないという意味ではありません。英国の憲法は、明文化された制定法と、不文の法律である「コモン・ロー」、そして同じく書かれざる「憲法上の慣例」という3つで構成されています。

 歴史に名高いマグナ・カルタ(1215年)や権利の章典(1689年)は、いずれも明文化された制定法です。他方で、議会の同意なくして政府が勝手に課税できないというルールは、17世紀に「コモン・ロー」の1つとして確認されています。最後の「憲法上の慣例」ですが、例えば、王は議会庶民院第一党の党首を首相に任命するという慣わしが、これに含まれます。

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最終更新:7/14(木) 6:15

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