ここから本文です

いよいよ日本上陸へ Spotifyの現状と強みを改めて分析してみた

リアルサウンド 7/15(金) 17:17配信

 先日、Facebookが日本のユーザー向けに新サービス『Music Stories』を実装した。2015年11月より米国などでスタートした同サービスは、外部の音楽ストリーミングサービスからFacebookに楽曲やアルバムを連動する形でシェアすることが可能で、ニュースフィード上で楽曲の再生が可能になるというもの。日本では現時点で『AWA』と『dヒッツ』『KKBOX』が連携対象のアプリであり、海外では『Apple Music』と『Spotify』が同サービスに対応している。

 そして、音楽ストリーミングサービスについては、国内でもう一つ大きな動きがあると予測されている。2014年に一度上陸が噂されたSpotifyが、再度日本国内での体制を構築中との記事が『Forbes Japan』『ITmedia』など複数メディアに掲載されたからだ。海外では圧倒的なシェアを誇るサービスだけに、日本上陸ともなれば、現在の勢力図に大きく影響がありそうだ。

 リアルサウンドでも2014年、Spotifyについての分析記事をいくつか掲載したが、ここにきてその機能はいくつか変化している。今回はParadeAllエンターテック・アクセラレーターであり、2014年に立ち上げた日本初の音楽xテクノロジーのカンファレンス、「THE BIG PARADE」のCo-Founderとして、国内外の音楽とIT事情に詳しい鈴木貴歩氏に、Spotifyがこの2年で遂げた進化について訊いてみた。

「Spotifyは2014年に音楽ビッグデータの大手企業であるEcho Nestを買収し、そのレコメンデーションエンジンを活用したサービスとして、『Discover Weekly』をリリースしました。同サービスは、毎週各ユーザーの志向にあったプレイリストが30曲くらい送られてくるというもので、その精度の高さが好評を呼び、世界中で毎週約4000万人が使っているといわれています。Spotifyが同社を買収したことにより、これまでEcho Nest社のサービスを利用していた競合他社がデータを使えなくなり、Spotifyがレコメンデーションの制度で大きくリードする形を取っています」

 では、現在、世界の音楽配信サービスの勢力図はどうなっているのか。。同氏は有料会員数を軸として、下記のように見取り図を描いた。

「有料会員の数でいうと、世界で一番大きいのがSpotify(約3000万人)、次がApple Music(約1300万人)、3番手がフランス発の音楽サービス『Deezer』(約650万人)ですね。ただ、これはオンデマンドに限ってのもので、ラジオ型の『Pandora』(有料会員約390万人)も含めるとこれらの4サービスが上位を占めているといえます(※数字は編集部調べ)」

 また、日本では『LINE MUSIC』『AWA』など自国発のサービスが次々とローンチされ、“定額制音楽配信サービス”という仕組み自体の認知が広がり、Spotify上陸騒動があった2014年ごろとはまったく違った状況になっている。これから『Spotify』が後発のサービスとして参入した場合、どのような展開が予想されるのか。鈴木氏は『Spotify』の特徴を踏まえ「Spotifyが日本で浸透するまでに、少し時間がかかるのではないか」と解説する。

「Spotifyはこれまで“先行逃げ切り型”として、マーケットにいち早く参入し、フリーミアムやSNSの連携機能を使いつつ浸透していくという勝ちパターンを取ってきました。しかし、日本だと『Apple Music』などのサービスが先行していること、端末としてもiPhoneのシェアが非常に高いことから、レコメンデーション機能を気にしないユーザーにとっては『Apple Music』がファーストチョイスであり続ける可能性が高いです。日本ではテレビCMなどマス広告の効果も高いため、ライトユーザーをどのように引き付け、獲得するのかが重要になってくるでしょう。機能面では、邦楽のデータベースをどのような形式で収集し、キュレーションの精度を高めるのかどうかが気になります。フリーミアムのビジネスモデルとともに、サブジャンルまでしっかりと行き届くのであれば、マーケットを制する可能性は高まりそうです」

 最後に、鈴木氏は『Spotify』の特徴でもある「フリーミアム(原則無料で一部機能が有料)モデル」が日本でも導入されるかどうかについて、こうコメントした。

「2015年にローンチした国内サービスの動きを見ていると、現在は『有料課金をしたくない』という層のほうが多いという印象です。しかし、イギリスなどにSpotifyが参入したときも、最初は『価格が高い』と批判されながらも、2~3年の時間を経て、サービスの内容や定額制という概念が浸透し、”適正価格”と思えるユーザーが多くなったそうです。日本は定額制サービス自体が始まったばかりなので、浸透もまだまだこれからですし、価値をユーザーが理解するまではもう少し時間がかかるのかもしれません。YouTubeや脱法ストリーミングアプリも成長の障壁になると考えられるため、そのあたりをどのように突破してくるのか、楽しみにしたいですね」

 海外に遅ればせながら、2015年の『音楽ストリーミングサービス元年』を経て、変容の一端を見せつつある日本の音楽シーン。今回の『Spotify』参入報道が真実ならば、2016年もまた、音楽シーンが大きな変革を遂げるための重要な一年になりそうだ。

中村拓海

最終更新:7/15(金) 17:17

リアルサウンド

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。