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「日本の大企業からイノベーションは興らない」ことはない、ソニー元社長

Forbes JAPAN 7/15(金) 8:30配信

日本の大企業からイノベーションは興らないー。バブル崩壊以降、「かつての成功モデルが通用しなくなった」「日本からはもはやアップル、グーグルのような企業は現れないだろう」といった悲観論が広まっている。



そんな定説を覆そうとしているのが、イノベーション100委員会だ。現在、先進的な取り組みを行う大企業17社の経営者が委員を務め、「日本をイノベーション・ネーションにする」という高い志を掲げる。座長を務める、元ソニー社長で、一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)常務理事の安藤国威は大企業の現状について次のように語る。

「日本の大企業による反転攻勢がまさに今、はじまっている。ハーバード・ビジネス・スクール教授クレイトン・クリステンセンも、『1970年~80年代、日本は破壊的イノベーションを興してきたが、この25年間はほとんど起きなかった。しかし、三菱リージョナルジェット(MRJ)はまさに破壊的イノベーションである』と発言している。三菱航空機の『MRJ』をはじめ、トヨタ自動車の燃料電池車『MIRAI』、ホンダの小型ビジネスジェット機『ホンダジェット』、コマツの建設現場支援サービス『スマートコンストラクション』など、象徴的事例も数多く出てきている。『日本の大企業からイノベーションは興らない』、その定説は崩れつつある」

「経営者の意識と行動の変化」が鍵

安藤はイノベーションにおける「経営者の役割」を強調する。「短期的な市場での競争優位性を維持しながら、10年後、20年後の未来を見据えて投資し経営資源を構築する。こうした効率性と創造性の双方を重視した『2階建ての経営』を主導できるのは、CEOしかいない」

だからこそ、先駆的取り組みを行う経営者の生きた知見を形式知化し広めるべく、「イノベーション100委員会」の委員らは昨年から議論を続けてきた。既存企業がイノベーション体質に進化するためにどうすればいいのかー。話し合いの中で、安藤が強く感じたのは、委員を務める経営者の「意識と行動の変化」だ。

「『時流を読み、手段を考え、断固として実行するのが経営者の仕事』『自社の既存事業とのカニバリゼーションを恐れてはいけない』など、これまでの経営者が口にしなかった言葉が数多く出てきたことは、大きな変化だ。イノベーションを興すのは経営者の仕事だと思うからこそ、経営者の意識と行動の変化に注目している。
--{企業にイノベーションを興すのは誰の仕事か?}--

今回の議論で、経営者委員が語った言葉から浮かび上がったのは、新しい価値を創造するという企業としての強い使命感と、経営者としての積極的なコミットメント。社員が試行錯誤できる環境を整備するだけでなく、組織内外の壁を越えた協働をも推進している経営者たち。彼らの変革手腕と、実行しているからこその言葉を耳にし、『大企業からもイノベーションは興る』という受け身的な立場ではなく、もっと積極的に『大企業こそイノベーションで引っ張る』という決意を改めて感じることができた」

同委員会では今回、「イノベーションを興すための経営陣の5つの行動方針」などをまとめたレポートを作成した。表紙に掲げる質問と答えに、同委員会の思いが凝縮されている。

「企業にイノベーションを興すのは誰の仕事か?」

「それは経営者の仕事である」

安藤国威◎一般社団法人Japan Innovation Network常務理事。元ソニー代表取締役社長。1942年生。東京大学経済学部卒業後、ソニー入社。79年現ソニー生命保険を設立し代表取締役。米国ソニー駐在後ITカンパニープレジデントを経て2000年ソニー代表取締役社長就任。以降ソニー金融グループ会長を歴任。

Forbes JAPAN 編集部

最終更新:7/15(金) 8:30

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