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テスラ株は「今」手放すべき? 警戒を要する3つの問題

Forbes JAPAN 7/15(金) 7:00配信

電気自動車(EV)メーカー、米テスラ・モーターズには、企業統治に関する大きな問題点がある。その問題はここ数週間、株式市場で富を得ている人たちにも自分たちと同じようにテスラを愛してもらいたいと望む人たちの心に、暗い影を落としている。



テスラに関するこれらの問題は、私たちに根本的な疑問を抱かせる。公開会社には、制御不能なCEOから株主を守る取締役会が必要なのではないだろうか──?

「天才起業家は、自身より劣る人間たち(取締役たちの中にもいるかもしれない)から制約を受けるべきではない」と考える人もいるかもしれない。だが、取締役会は理論上、成長戦略と経営手腕の獲得に向けた投資を承認することにより、リスクを減らし、利益獲得の機会を捉えて、株主のために行動する人たちだ。

テスラのイーロン・マスクCEOは確かに、世界でも屈指の素晴らしい起業家だ。オンライン決済のPayPal、テスラ、宇宙開発企業スペースXの創業者であり、いとこがCEOを務めるソーラーシティーの会長でもある。

しかし、それでもテスラは深刻な問題を抱えていると考えざるを得ない。その具体的な理由は、以下のとおりだ。

1. 28億6,000万ドル(約2,980億円)規模の「ソーラーシティー」買収

戦略的にみても、財務の面からみても、筋の通らない話だ。買収提案の内容は、利益の出ていない異業種の2社を統合させるもの。両社の業績や今後の展望の改善につながるような、有意義な協働を生むものではない。

テスラ車のオーナーの間には、太陽電池で走る車を望む声もあるかもしれない。それでも、そのためにテスラがソーラーシティーを買収する必要はないはずだ。

さらに、両社のキャッシュフローがいずれもマイナスであり、多額の負債を抱えていることを考えれば、買収価格は高額すぎるといえるだろう。

--{単なるカーニバルの客引き?}--
2. 達成できない生産目標

人々が欲しがる製品をつくるというのは、素晴らしいことだ。だが、あなたが納期を守れなければ人々いずれ、あなたを実態の伴わない単なる祭り会場の客引きくらいにしか思わなくなるだろう。

テスラは先ごろ、今年第2四半期(4~6月期)の納車台数が前期に続き、目標を下回ったことを発表。さらに、通期の目標としていた8~9万台の生産も達成できない見通しであることを明らかにした。

3. 死亡事故に関する報告の遅れ

企業は出資を募る際、自社に投資をすることによって直面することになり得るリスクについて、投資家らに明確に示さなくてはならない。

投資家らに二の足を踏ませるような事実があり、CEOがそれを認識していながら隠し続けたまま、資金を獲得していたとしたらどうだろうか?さらに、取締役会がCEOのその行動を認識していながら、そのまま現職にとどめることを容認していたとしたら──?

ロイターによるとテスラは、一部に自動運転機能を持つ「オートパイロット」モードで走行していたドライバーが5月7日にフロリダ州で衝突事故を起こし、死亡した事実を把握していた。それにもかかわらず、5月18~19日に公募増資を実施するまで伏せていたというのだ。そして、テスラはこの公募増資によって、少なくとも14億6,000万ドル(約1,520億円)を調達した。

同社は7月5日になってようやく、事故については5月16日、米道路交通安全局(NHTSA)に報告していたことを公表。また、NHTSAは6月30日、この件について調査中であることを明らかにした。

ミシガン州にあるウェイン州立大学法学部のピーター・ヘニング教授は、テスラは公募増資の実施とソーラーシティーの買収計画を発表する前に、投資家らに事故発生を通知しておく必要があったと指摘している。

ある企業の製品を愛する人たちは、その会社の株にも愛情を持つようになる。だが、テスラの取締役たちは、マスクに対して愛情を持っているだろうか?企業統治に関するこれら3つの問題は、その点を疑わせる。いや、あるいは取締役たちは単に、一般株主たちの利益のために目配りをするという自らの役割を、十分に果たしていないだけかもしれない。

Peter Cohan

最終更新:7/15(金) 7:00

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