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ビジネストークで最適な「アイコンタクト」は何秒が適切?

HARBOR BUSINESS Online 7/15(金) 16:20配信

◆聞き手を引き付ける能力は先天的なものだと諦めていませんか?

 ビジネススキルを向上させる分解スキル・反復演習にはじめて参加している人からよく受ける質問に、「話していると、聞き手がだんだんと興味を失っていったり、拒絶したりするようになり、そもそも聞き手を引き付けておくことができません。ビジネススキルを発揮するどころではないのです」という意味のものがある。そして、「聞き手を引き付ける能力があるかどうかは、その人の容姿をはじめとする全体の魅力に左右される部分が大きいので、努力してもどうにもならないのではないでしょうか」という意見をいただくことが多い。

 そのような意見をいただいた時に、私は、「いえ、後天的な努力でどうにでもなるのです」とは、決して言わない。その代わり、「誰でも知っているスキルがあって、そのスキルを身に付ければ、聞き手を引き付けることが格段にできるようなるとすれば、そのスキルを身に付けたいと思いませんか?」と問いかける。このように問いかけると、たいてい、「でも、とても長い時間や、大きな苦労をしなければならないのではないのですか?」というリアクションを受ける。

 そのリアクションに対して、「実は、それは1分間という、とても短い時間で簡単に身に付けることができ、反復演習によって、体に染み付けることができる、2時間経過後には、ほぼ90%の人が「出来るようになった」と実感するというフィードバックをいただいているプログラムがありますが、参加してみたいと思いませんか?」と問いかける。そして、半信半疑の人も含めて、ほとんどの人が、参加してみたいと言うのだ。

◆アイコンタクトのスキルをほとんどのビジネスパーソンは発揮できていない

 そのプログラムとは、アイコンタクトのスキルを向上させるプログラムである。

 アイコンタクトの仕方を駆使できるようになれば、聞き手の関心を高め、引き付けることができやすくなり、ひいては、周りに人が集まりやすくなる、とても大きなパワーを身に付けることができるようになるのだ。

 このように申し上げると、「アイコンタクトのスキルは知っている。いつも心掛けている。できている」という答えが返ってくる。その答えに対しては、決して反論しないで、「できていれば、それで結構ですので、スキルチェックの意味も含めて、まずは演習してみましょう」ということで、演習に参加していただく。

 私の演習は、身に付けるべきビジネススキルを分解して、誰でも身に付けられるような簡単なパーツのスキルにして、その分解スキルを反復演習して体得していく方法をとっている。1プログラム120分の中で、6つの分解スキルを反復演習して身に付ける。1スキルあたり15分程度で、私が5分くらいで反復演習のやり方やモデルを示した後、10分程度で参加者が反復演習することを繰り返していく。理屈の説明はほとんど省いて、まずはやってみて、その意味も参加者に考えていただくことさえある。

 アイコンタクトのスキル向上の場合は、まずは、アイコンタクトの適切な秒数を、参加者に聞いてみる。3秒、5秒、10秒・・・さまざまな答えが返ってくる。私はアイコンタクトの適切な秒数を説明するかわりに、参加者自身に、自分のアイコンタクの秒数がどの程度かということを確かめていただく。私が説明して参加者が頭でわかったつもりになったことは定着しないし参加者が再現できないが、参加者が体で覚えたことは、アクションで再現できる確率が格段に高まるからだ。

◆自撮りしたビデオを見て、はじめて、自分が見つめ過ぎていたことがわかる

「それでは、お手元のカメラ付スマートフォンや携帯電話を、お配りした三脚にセットして自撮りをしながら、お二人一組で自己紹介をし合いましょう。お一人1分です。さあ、スタートしてください」ということで、演習が始まる。

「話す内容を準備させてほしい」と戸惑っている人には、「「考えるより、慣れることが大事ですから、まずはやってみて、やりながら考えましょう」とにっこり笑って、早速はじめていただく。現実のビジネスの場面では、その場その場のアクションが全てなのだから。

 ビデオ撮影をしながらの自己紹介をし終わると、早速、自撮りした内容を自分で見ていただく。「今回は、聞き手を見つめ続けている、アイコンタクトの秒数が何秒だったかということだけを確認して、ビデオを見てください」という案内を付け加える。ビデオを見ている間、あちこちで、どよめきが起きる。そして、1分経過後に、自己紹介で自分は何秒アイコンタクトをしていたかを答えていただく。その結果、5秒から15秒で、自分が思っていたよりも長い秒数していたという結果が出る。

 そして、もう一度、自己紹介のビデオを見ていただく。「今度は、聞き手になったつもりで、アイコンタクトの秒数に応じて、どのような印象を持ったかをメモしながら、聞いてみましょう」という案内をする。すると、アイコンタクトの秒数が長い人だと「圧迫感がある」、「一生懸命話しているのは伝わるが、一生懸命過ぎて、聞き手も息苦しくなる」、「相手にのしかかるようで、聞き手が逃げたくなる気持ちがわかった」という感想が返ってくる。参加者の層によっては、「全然、相手を見つめていない」といった、逆の感想が返ってくることもある。

◆実体験してはじめてわかる、アイコンタクトの適切な秒数

 その上で、適切なアイコンタクトの秒数を参加者に考えていただくと、「2、3秒」という結論になるのだ。そして、演習参加者を見渡して、「良い悪いではなく、顔の彫が深く、目鼻立ちがしっかりしていて、髪や眉が濃い人は、短めな方がよいでしょう。逆に、面差しが穏やかで、どちらかというとのっぺりしていて、髪や眉が薄めの人は、少し長めでも抵抗感を与えないかもしれませんね」と申し上げると、聞き手はなるほどと深くうなずく。そして、自撮りしながらの自己紹介とそれを自分で確認する演習を繰り返す。そうすると、自分にとっての適切なアイコンタクトの秒数が、他ならぬ自分で再現できるようになるのだ。

 一生懸命話そうと思えば思うほど、聞き手をしっかりと見つめ続けがちになる。そして、姿勢も前のめりになる。決して言葉では伝えていなくても、そのようなアイコンタクトや姿勢が、押し付けがましさを伝えてしまい、この人の話やこの人自体から逃げようという心理を、聞き手に植え付けてしまうのだ。だから、アイコンタクトの秒数をコントロールするは、とても簡単なスキルであるけれども、聞き手を引き付けるためのとても大きなパワーをもったスキルなのだ。

 もし、このような演習を行わないで、「アイコンタクトの適切な秒数は、私の演習結果をふまえると、2、3秒です。長すぎると、聞き手に圧迫感を与えて、相手を引き付けることができないことが心理学の学説としても裏付けされていますので、気を付けてください」と解説していただけでは、まさに馬耳東風、体で再現はできない。画像で紹介した三脚は、100円ショップで販売している2つのパーツを組み合わせることでセットできる。

 以下のドリルではセルフトレーニングの仕方を紹介しているので、少しでもスキルを伸ばしたい人に活用いただければ幸いです。次回は、聞き手を引き付けるために、アイコンタクトの秒数と同じくらいのパワーを持つ、アイコンタクトのはずし方を紹介させていただく予定です。

※「アイコンタクト」のスキルは、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)のドリル1で、セルフトレーニングできます。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第10回】

※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。

【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。国内外金融機関、IT企業、製造業企業でトレーニング部長、人材開発部長、人事部長を経て、外資系コンサルティング会社ディレクター。分解スキル・反復演習型能力開発プログラムの普及に努める。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日経ビジネスセミナー講師(2016年)。日本ナレッジマネジメント学会会員。日経ビジネスオンライン「エグゼクティブのための10分間トレーニング」、KINZAI Financial Plan「クライアントを引き付けるナビゲーションスキルトレーニング」、ダイヤモンドオンライン「トンデモ人事部が会社を壊す」連載中。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。慶應義塾大学法学部卒業、サンパウロ大学法学部留学。長野県上田市出身

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最終更新:7/15(金) 16:20

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TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。