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『パンプ・アップ・ザ・ボリューム』マーズのメンバー、スティーヴ・ヤングが逝去

ローリングストーン日本版 7/16(土) 9:00配信

ロンドンを拠点に活動するM/A/R/R/S、カラーボックスのメンバーでもあったヤング、享年は不明。



アシッド・ハウス・ムーヴメントの中で脚光を浴びたマーズ、そしてエレクトロ・ポップ・バンドのカラーボックスのメンバーとして知られたスティーヴ・ヤングが逝去した。両グループが所属した4ADはその事実を認めた上で、コメントを発表した。「真のパイオニアだったスティーヴンが4ADに残した作品の数々は、我々にとってかけがえのない財産であり、これからもその輝きが色褪せることは決してない」コメントはこう締めくくられている。「マーティンをはじめとする彼の家族、そして親しい友人たちの心の傷が一刻も早く癒えることを願っている」レーベルはスティーヴの享年および死因を明らかにしていない。

ヤングはマーティン、そしてヴォーカリストのロリータ・グラハムと共に、1982年にロンドンでカラーボックスを結成し、1984年にデビューシングル『セイ・ユー』『パンチ』を発表。ソウル、レゲエ、そしてエレクトロ・ダブを融合させた前者に対し、後者ではストレートなメインストリーム・ポップに挑戦している。翌年1985年には、ヒップホップやスクラッチ、レゲエ、ダブを取り入れた野心的なデビューEPを発表するも、ヒットには至らなかった。しかしスプリームスのアッパーなカヴァーと、メタル風ギターサウンドをフィーチャーした『マニック』を収録したデビューアルバム、『カラーボックス』は高く評価され、イギリスのナショナルチャートにおいて最高67位を記録した。

エレクトロ・ファンク・ユニットのマーズを結成

またヤングは、4ADの創始者であるアイヴォ・ワッツ=ラッセルを中心とした流動的プロジェクト、ディス・モータル・コイルにも参加した。コクトー・ツインズやデッド・キャン・ダンスのメンバーも参加した同プロジェクトはオリジナル曲だけでなく、所属アーティストによるレーベルメイトたちのカヴァーを多数発表した。スティーヴンはビッグ・スターズの『ホロコースト』のカヴァー、そしてオリジナル曲『涙の終結』でピアノを弾いている。また彼は同プロジェクトの2作目『フィリグリー・アンド・シャドウ』にも参加している。

その数年後、スティーヴンとマーティンはA.R. ケインのアレックス・アユリとルディ・タンバラと共に、エレクトロ・ファンク・ユニットのマーズを結成。ほどなくして、C.J. マッキントッシュとDJ デイヴ・ドレルをゲストに迎えたアップビートでスクラッチが印象的なシングル『パンプ・アップ・ザ・ボリューム』を発表する。ジェームス・ブラウン、クール&ザ・ギャング、パブリック・エナミー、トラブル・ファンク等の曲をサンプリングした同曲は世界中を席巻した。18週間にわたってランクインし続けたイギリスのナショナルチャートでは1位に輝き、アメリカでリリースされた別バージョンも最高13位を記録した。『パンプ・アップ・ザ・ボリューム』、そしてノイジーなギターサウンドをフィーチャーしたB面曲『アニティナ』において、スティーヴンとマーティンの2人は作曲者としてクレジットされている。

「こんな風にしたくないというのははっきりとあったけど、どんな曲になるのかは想像がつかなかった」マーティンは1988年のスピン誌のインタビューで、大ヒットとなった同曲についてこう語っている。「とにかく音を磨き過ぎたくなかった。荒いサウンドが欲しかったんだ」

『パンプ・アップ・ザ・ボリューム』はグラミー賞ベスト・ポップ・インストゥルメンタル・パフォーマンス部門にノミネートされ、後年には『再会の街 / ブライトライツ・ビッグシティ』『アメリカン・サイコ』のサウンドトラックに収録された。同曲の破格の成功にもかかわらず、その後グループは解散。『99 Red Balloons: And 100 All-Time One-Hit Wonders』によると、解散の理由は「金銭面でのトラブル」と音楽性の相違だったとされている。

『パンプ・アップ・ザ・ボリューム』のリリース以降、ムースとキッド・コンゴ・パワーズの作品への参加を除き、ヤング兄弟は目立った音楽活動をしていなかった。

Translation by Masaaki Yoshida

Kory Grow

最終更新:7/16(土) 9:00

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