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英国EU離脱の背景に格差問題あり、は本当か?

JBpress 7/18(月) 6:10配信

 EU(欧州連合)からの離脱を決定した英国の国民投票から1カ月が経とうとしている。市場は落ち着きを取り戻しているが、経済的な影響がどの程度になるのかは未知数という状況が続く。

 英国のEU離脱の背景には格差問題が存在しているとの指摘があり、こうした問題を解決しない限り、似たような事態が再び発生するとの見方も根強い。確かにグローバル化の進展は格差を拡大してきた面があるが、格差に対する認識は人それぞれであり対処が難しい。

■ 米英で格差が拡大したのは好景気のせい

 格差問題がやっかいなのは、景気拡大が続くと、それに伴って格差が拡大する傾向が強く、政策的に大きな矛盾が生じてしまうことである。多くの人は格差拡大を望まないが、一方では景気の拡大を政府に強く求めるからである。

 先進各国の格差はここ20年でかなり拡大してきた。上位1%の所得が全体の所得の何%になっているのかという数字を見ると、1980年には米国が8.2%、英国が6.7%(1981年)、ドイツが10.4%、日本が7.2%であった。各国にそれほど大きな差はなかったといってよいだろう。

 だが1990年代に入ると格差の拡大はより顕著となってきた。2010年の段階では米国が17.5%、英国が12.6%、ドイツが13.9%(2008年)、日本は9.5%となっていた。特に米国と英国で格差拡大が著しく、日本ではあまり所得の格差は広がらなかった。以前は格差が大きかったドイツも米英に比べると顕著な上昇は示していない。

 格差の拡大には様々な要因があるので一概には言えないが、90年代以降、特に米英で格差が拡大した原因は経済成長である可能性が高い。70年代の米国はスタグフレーションに悩まされ、10年近くにわたる停滞期が続いていた。英国も同様で、当時の衰退ぶりは「英国病」とも言われた。

 だが米国ではレーガン大統領が、英国ではサッチャー首相がそれぞれ誕生し、徹底的な規制緩和が実施されたことで両国は安定的な長期成長フェーズに入った。また90年代は、中国などの新興工業国が発展し、国際的な分業体制が確立した時代でもあった。

 国際的にもっとも最適なリソース配分が行われた結果、好調な経済はリーマン・ショック直前まで続くことになった。これが格差を拡大させる大きな要因となった可能性は高い。

 一方、日本はバブルの後処理に失敗し、世界でも例を見ない長期不況が続いた。日本でそれほど格差が拡大しなかったのは皮肉にも不景気が長く続いたからである。

■ 港区民の所得がアベノミクスで増加した理由

 では景気が拡大すると、なぜ格差も拡大するのだろうか。

 それは資産価格の上昇がもたらす影響が大きいからである。景気が拡大するとGDPの成長率も高まるので、労働者の所得も増大する。しかし労働の対価としての報酬は無限大に増加するわけではない。

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最終更新:7/19(火) 12:35

JBpress

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