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200匹もの猫が360人の島民と暮らす 天草の癒しの島へショートトリップ

CREA WEB 7/18(月) 12:01配信

ウミガメがやってくる、信号も交番もない平和な島へ

 前回の記事でも書いたとおり、天草は上島(上天草市、天草市)、下島(天草市、苓北町)のほか、大小さまざまの島からなる。ホテルや旅館が充実している上天草市や天草市を拠点に、周辺の離島まで日帰り旅行できるのも、天草ならではの楽しみだ。

 訪ねたのは、上島にほど近い湯島。ここには、島民360人と猫200匹が仲良く暮らしている。交番も信号もなし。美しい海辺にはウミガメも産卵にやってきて、特産品は鯛にアワビにウニ……と、聞けば聞くほど、心が誘われる場所だ。

 湯島の通称は、談合島。そう呼ばれるのには、歴史が関係している。1637年に起きた日本史上最大の一揆「島原・天草の乱」で、天草と島原のキリシタンたちが密かに集まり、戦いの決起をし、作戦を話し合ったのがこの島なのだ。かの天草四郎も、ここで総大将に任命されたのだそう。たしかに、地図を見ると、湯島は天草諸島と島原半島の中間に位置しているのが分かる。

 ちなみに、上天草市ではこれを一揆ではなく、自由と平和を求めて戦った聖戦ととらえているのだそう。これも興味深い文化。

 江戸時代、密かに談合が行なわれた島は今、ちょっと足を延ばすのにちょうどいい旅先だ。湯島へは、上天草市の江樋戸(えびと)港から1日5往復している定期連絡船でわずか25分。周囲約4キロの島はのんびり歩いても1時間ほど。朝の船で湯島に向かい、散策を楽しんで、ランチに海の幸をたっぷり食べて上島に戻っても、まだまだ時間がある。

 湯島行きの小さな船内は、島民や釣り人で朝から賑やか。この船は島民にとっての大切な生活の足なのだ。湯島港に到着する直前、船が防波堤数ヶ所に立ち寄るのは、釣り客をそれぞれの釣りスポットで下船させるため。そんな光景も、なんともおおらかで、島らしい。

猫たちが談合する“猫スポット”が島のあちらこちらに

 湯島での移動手段は、徒歩のみ。公共交通機関がないどころか、車も2台しか走っていないし、信号もない。でも、それで十分。1、2時間あれば、のんびりと島の見どころを見てまわることができる。

「こんにちは!」 港で元気に挨拶してくれたのは、島の小学生。島にひとつだけある小学校は、全校生徒5名。島の人たちに見守られて、愛情いっぱいに育てられている子どもたちは、素直でとてもかわいい! 

 船で沖に出なくても海岸で豊かな海の幸が獲れる湯島では、漁業に養殖はなく、素もぐりや一本釣り、はえ縄漁といった、自然の漁法が営まれている。つまり、魚介類はすべて天然もの。港の前にある小さな集落には、新鮮な地魚を食べさせてくれる食堂もある。

 人々の生活の場は、島の南側沿岸に集中している。島の道は、海岸沿いを除いて、ほとんどが坂道。一歩裏に入ると、急勾配の坂に狭い路地が入り組んでいて、まるで迷路のよう。こうした集落の造りは、「背戸輪(せどわ)」と呼ばれるもので、限られた場所に家を無駄なく建てる工夫なのだ。

 この小さな島を有名にしているのが、たくさんの猫たち。島には猫が200匹いるとも言われていて、いたるところで出会う。野良猫も飼い猫も、島の人々は、どちらも分け隔てなく可愛がるから、どの子もとても人懐っこい。路地の匂いと、道のど真ん中で堂々と昼寝する猫と、家の中から聞こえてくる声。道に迷いながら歩く島は、なんだか懐かしい気持ちにさせてくれる。

 のんびりと時が流れる島には、歴史を感じさせる史跡もある。ここは島原・天草の戦いで、密かに談合が行なわれた島。山の上には、談合島の碑やキリシタン墓碑があり、山腹の諏訪神社には、武器製造に使用された鍛冶水盤も残っている。

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最終更新:7/18(月) 12:01

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