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『ダ・ゾーン』マーケティングディレクター インタビュー

footballista 7/20(水) 14:15配信

黒船来襲?それとも…世界的デジタルスポーツ企業「パフォームの戦略」

7月20日、Jリーグがパフォームのライブストリーミングサービス 『ダ・ゾーン』との放映権契約締結を発表。契約期間は2017年からの10年間、放映権料は総額でおよそ2100億円という巨額契約となった。今回の契約により中継の軸足がインターネット配信へと移るとも見られているが、果たして『ダ・ゾーン』はどんなビジョンを描いているのか。

今回は、メディアとサッカーとの最新事情に迫った月刊フットボリスタ第35号の特集「新世代メディアとサッカー」から、Perform Investment Japan株式会社に所属し『ダ・ゾーン』のマーケティングディレクターを務めるピーター・リー氏のインタビューを特別公開。当事者の声から、新たな時代の到来を感じてほしい。


インタビュー
Perform Investment Japan株式会社
ダ・ゾーン
マーケティングディレクター
ピーター・リー

インタビュー・文/池田タツ 写真/藤井隆弘

※このインタビューは2016年6月27日に行われた。


6月上旬、各種メディアで「Jリーグの放映権をパフォームが獲得か?」と報道された。パフォームはロンドンに本拠地を置く外資系企業。この報道があった翌週には、ライブストリーミングサービス『DAZN(ダ・ゾーン)』をリリースすると発表した。新サービスのロゴは黒を基調としたもので、外資系企業ということも相まって「黒船来襲」を想起させる。『ダ・ゾーン』が日本でどんなサービスを展開するのか、Perform Investment Japan株式会社のピーター・リー氏に話をうかがった。


■新しい体験を「今届ける」


──まず『ダ・ゾーン』のサービスコンセプトを教えてください。
 「『すべてのスポーツファンに新しい体験を』というコンセプトを掲げています。トップクラスのテクノロジーとトップクラスのコンテンツを礎に、どちらも常に進化させ続ける。日本に新しく構えた私たちのオフィスには制作ブースも設けています。パフォーム社内で制作を担うことで、新しい映像、新しい体験を日本のユーザーに『今届ける』ということを大事に考えています。『いつでもどこでも、魅力的な価格で、ハイクオリティの映像を、ハイクオリティのスポーツコンテンツを、見たい時に届ける』ことを目指しています。私たちはスポーツに特化した会社です。今までに数多くのジャンルのスポーツに投資してきており、今回の『ダ・ゾーン』では、マルチデバイスで月600試合以上のスポーツを配信します。多くの国であらゆるスポーツに携わってきて得たノウハウが我われの一番の強みだと思っています」

──ネーミングの由来は何でしょうか?
 「スポーツでよく使われる『イン・ザ・ゾーン』という言葉からきています。そこには2つの意味が込められています。1つは、日本語でも『アスリートがゾーンに入る』という言い方をしますが、英語だともう少し広義で『試合の前に集中すること』も含めてゾーンに入ると言います。もう1つはファンが試合を楽しむ環境もゾーンと言います。ワールドカップなどでサポーターが集まる場所を『ファンゾーン』と言いますよね。アスリートとファンを繋ぐゾーン、ということで『ダ・ゾーン』という名前にしました」

──それにしても月600試合というのは、凄く多いですね。
 「私たちがデータを分析したところ、日本のスポーツファンの70%以上が野球に興味があるということがわかりました。サッカーでも国内、海外問わず多くのファンがいます。また日本のスポーツファンは、1つのスポーツだけでなく、複数のスポーツを見ているというデータもあります。例えば、野球ファンの60%がサッカーも見ています。ただ、日本で複数のスポーツを見ようとすると、現状のサービスでは高額になってしまう。ですので、『ダ・ゾーン』はあらゆるスポーツが見られるサービスを一定の価格で提供したいと考えています」

──サッカーファンとしては、サッカーだけを安く見たいという気持ちもあります。そういった切り売り的なパッケージはあるのでしょうか?
 「サービスはワンプライスです。1つの料金ですべてを見られるサービスにしますのでサッカーだけで安売りすることはありません。また、『ダ・ゾーン』はどのユーザーにも同じ価格で提供します。いろいろなサービスパッケージを作ることも検討しましたが、現在の日本ではわかりづらい契約があふれているので、我われはわかりやすい形で提供しようということになりました。ただ、本当にコアなスポーツファンで、決まったリーグしか見ないという層がいることも知っています。そういった方たちのために、シーズンオフには簡単に解約していただけるよう、わずか3クリックで解約できる仕様になっています」


■データ会社『Opta』と連携した制作体制


──どういった制作体制を考えていますか?
 「世界のあらゆるスポーツで得たノウハウや技術を日本のユーザーに提供するための準備をしています。例えばWTA(女子テニス協会)の制作は、すべてパフォームグループが行っています。そこで培われたトップクラスの映像技術を、ユーザーに新しく体験していただきたいですね。スポーツによって異なりますが、カメラの台数を増やすことも考えています。同時に、日本向けのコンテンツ強化も考えております。例えば、海外スポーツ放映における日本語解説の取り組みです。新しいオフィスには映像制作の機能も設けているので、オフィス内で日本語の解説をつけることも可能です。加えてプレミアリーグ、ブンデスリーガ、エールディビジなど世界の主要なサッカーリーグのオフィシャルパートナーである『Opta』も、パフォームグループの一員です。ヨーロッパサッカーの膨大なデータがありますので、それも合わせてユーザーが楽しめるようになります」

──どのリーグの試合を何試合ぐらい見られるのでしょう?
 「今の段階では詳しく答えられませんが、日本で人気のあるリーグを放送します。インターネットならではのメリットは、ライブでもオンデマンドでも見られること。海外のスポーツは時差もあり、深夜放送も多いので、試合後のオンデマンドにも対応します。さらに複数のデバイスで複数の試合を同時に見ることができます。『ダ・ゾーン』はマルチデバイス対応なので、家族で利用することも可能です。携帯、パソコン、テレビなどライフスタイルに合わせて使ってもらいたいですね」

──日本でオリジナル番組を作る可能性はありますか?
 「すでにいくつか企画しています。例えばWTAでは、試合だけでなくハイライト番組や関連番組も我われで制作していますので、そういったノウハウもあります。そのノウハウを生かして日本のスポーツファンに合わせたオリジナル番組を作りたいと思っています。また日本のスポーツファンはSNSなど様々なチャンネルを使って、情報を仕入れていることもわかっています。当然我われも各種SNSを使いながら、ユーザーに合った情報を届けていくつもりです。今はスポーツ観戦に多くの時間を割けないファンが多くなっていますので、短い時間で楽しめるハイライト番組は当然必要でしょう。同時にそういう番組を各種SNSで配信してプロモーションすることもあるかもしれません」

──テレビ局からインターネットの会社に移ることによりどんな利点がありますか?
 「例えば、音声通話もデータパックを使ってコストを抑えている人が増えていますが、私たちも同じように、テレビで放送するよりもコストを抑えられます。だからこそユーザーにも魅力的な価格で提供することが可能です。低コストで制作できるからこそ、CMをなくすこともできます。CMの部分に、魅力的なコンテンツを当てはめていくことで、よりスポーツに特化したサービスになるでしょう」

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最終更新:7/20(水) 14:20

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