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電話、メール…35年でヒット曲「通信手段」の歌詞激減

R25 7/21(木) 7:00配信

先日、宇多田ヒカル「Automatic」(1998年発売)の歌詞が、「もはや意味が通じない」とネット上で話題になった。「受話器を取った君」といっても家庭に固定電話のないスマホ世代は「受話器」を知らず、「名前を言わなくても声ですぐ分かってくれる」という歌詞に対しては、「彼氏なのに連絡先登録してないの?」と疑問が浮かんでしまうというのだ。

離れた場所にいる恋人への想いを歌う際キーワードにしやすい“通信手段”だが、時代とともに理解されなくなってしまう運命なのかも。今回は、そんな通信手段を歌詞に使用しているJ-POPを振り返ってみることに!

まずは、オリコンシングルランキングTOP10を年代別に振り返り、“通信手段”が登場する回数をカウントしてみたところ。

1980年代…「手紙」4回、「電話」3回、「受話器」2回、「ダイヤル」5回
1990年代…「手紙」3回、「電話」8回、「受話器」2回、「ポケベル」1回、「PHS」1回、「留守電」1回
2000年代…「手紙」1回、「電話」6回、「携帯」2回、「メール」1回
2010~15年…「電話」1回

という結果に。それぞれがどんな歌詞か、分析してみよう。

●1980年代 「ダイヤル」をめぐる、切ない恋の駆け引き

1980年代、5回と多く登場したのが「ダイヤル」であった。小林明子「恋におちて」の「ダイヤル回して、手を止めた」という歌詞は世代を超えて知られているはずだが、これが不倫の歌だということを知らない人は意外と多いかも? 当時は相手も固定電話であるため、奥さんが出る可能性だって十分。ワンタップでかけられる現在なら思い切って電話してしまう女性もいるかもしれないが、ダイヤルを何度も回さなければならない当時、幸か不幸か、冷静になる時間が十分にあったということだろう。ちなみに、中島みゆき「悪女」のなかには「受話器を外したままね 話し中」という歌詞も。これは現在でいう着信拒否のようなものだが、特定の相手からの電話を避けるために、すべての電話をシャットアウトする事態になってしまっていることが、時代を感じさせる…。

●1990年代 いつでもどこでも連絡したい時代

1990年代になると、それまで頻出していた「ダイヤル」は0回に。一方で「ポケベル」「PHS」などの携帯可能な通信手段が歌詞に登場。大黒摩季「あなただけ見つめてる」では「何処にいても捕まるようにポケベル持ったわ」、宇多田ヒカル「Movin’on without you」では「夜中の3:00AM 枕元のPHS 鳴るの待ってる」と歌われており、いつでもどこでも彼氏からの連絡を待ってしまう女心が共感される時代だったようだ。

●2000年代 すれ違いはメールから?

そして2000年代になると「メール」が登場。倉木麻衣「Love,Day After Tomorrow」で「『ゴメンネ』の一言 メールで送った文字じゃ」と歌われており、メール文化の誕生で便利になる一方、それにともなう感情の伝わりづらさや、男女のすれ違いが発生しはじめたことが読み取れる。

●2010~15年 「通信手段」はもはや恋愛には無関係なのか

2010年代になれば「LINE」や「Twitter」が多くなる…? と思いきや、年間TOP10に入っている曲で通信手段が登場したのは、乃木坂46「気づいたら片想い」の「電話かけて声を聞きたい」の1回のみ。2010年代のオリコンシングルランキングのほとんどをAKB48グループが占めているため、これは秋元 康の歌詞の傾向かも…と、2010~15年までのiTunesダウンロードランキングベスト10も調べてみたが、結果は、西野カナ「Darling」の「携帯忘れたかも」の1回のみ(それも、彼に連絡したいという気持ちとは無関係)。

LINEやSNSなどで好きな人に気軽に連絡できるようになった現在、“通信手段”は恋愛の切ない気持ちを表現するにふさわしい存在ではなくなってしまったのかもしれない。「スタンプ」や「いいね!」などを歌詞に取り入れたうえで、宇多田ヒカル「Automatic」のように心に響く曲は現れないものだろうか…。

(上野一舞/かくしごと)
(R25編集部)

※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびR25から一部抜粋したものです
※一部のコラムを除き、R25では図・表・写真付きのコラムを掲載しております

最終更新:7/21(木) 7:00

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