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青野尚子の「今週末見るべきアート」|福島「No Go Zone」の現実を浮き彫りにする写真。

Casa BRUTUS.com 7/21(木) 7:00配信

荒れ果てた家や店で、いつも通りの暮らしを続けているかのような人々。

街中に現れた透明なバリア。これらはすべて福島第一原発事故の避難区域で撮られたものだ。撮影したのは、東京在住のギョーム・ブレッションとパリ在住のカルロス・アイエスタの2人。2011年、東日本大震災の直前に東京に移り住み、今も住み続けているギョーム・ブレッションに聞いた。

展覧会が開かれているのは銀座シャネルビル4階にある〈シャネル・ネクサス・ホール〉。会場に入ると、金網に囲まれたスペースが出迎える。壁はジグザグと蛇行して、不安な気持ちにさせる。

作者の一人、ギョーム・ブレッションはジャーナリストの妻と結婚後、学生時代に日本語を勉強していたこともあり、2011年、フランスの放送局「フランス24」の特派員として日本にやってきた。そのすぐあとに東日本大震災と、それに続いて福島第一原発事故が発生。3月20日ごろから東北に入ったという。

「最初は石巻や気仙沼など、津波の被害を受けたところをまわっていました。福島では避難所になっていた『ビッグパレットふくしま』(福島交流会館)で避難してきた人たちに『持ち出してきたものの中で大切なものは何ですか』と尋ねて、それを撮影させてもらったりしていました」

今回、展示されている写真を撮り始めたのは2011年の4月から。普段はパリを拠点にしているカルロス・アイエスタと一緒に、福島に入ったときのことだ。

「停電しているから夜はほんとうに真っ暗で、誰もいない。普段は目にすることのない、異様な光景にショックを受けました。そこから生まれたのが『光影』のシリーズです」

「光影」は夜間、強いフラッシュライトをあてて撮ったもの。陸に打ち上げられた船や沈んだ車、壊れて閉店したコンビニなどが闇に浮かび上がる。展覧会場でも照明を極端に落としたスペースに並べられて、彼らが体験した闇を再現する。

今回展示されている作品は、現場に行って見たままを撮るストレートなドキュメンタリーではなく、先にコンセプトを立て、それに沿って撮影するという手法によるものだ。「光影」はストレートな写真だが、光によってドラマチックな演出がされている。

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最終更新:7/21(木) 7:00

Casa BRUTUS.com

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