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青野尚子の「今週末見るべきアート」|田根剛が見せる、フランス近現代美術の70年。

Casa BRUTUS.com 7/21(木) 15:00配信

フランスの近現代美術史が一目でわかる。そんな展覧会が東京・上野で開かれています。

会場構成は建築家の田根剛。美術史の流れだけでなく、一人ひとりのアーティスト像がくっきりと浮かび上がる仕掛けです。

とにかくスケールの大きいフランスの美術館。ポンピドゥー・センターも所蔵作品数11万点を誇るメガ美術館だ。『ポンピドゥー・センター傑作展』はその中から1年に1作品、1作家ずつチョイスして年代順に並べたもの。20世紀最大のアート・ムーブメントの一つ、フォービズムが始まった1906年からポンピドゥー・センターが開館した1977年まで、70点の作品が並ぶ。マティス、ピカソ、カンディンスキーらアーティストはもちろん、ル・コルビュジェやジャン・プルーヴェまで多彩な顔ぶれだ。

会場構成を担当した田根は、作品ごとにアーティストのポートレイトと、書物などから引用した彼らの言葉をつけた。

「知らない作家もいたので、どんな会場構成にするかリサーチしていたときに作家のパーソナルな面も面白いな、と思ったのがきっかけです。20世紀は激動の時代です。その時代の中でアーティストが何を考えてその作品を生み出したのかを知ってもらいたい。作品に出合うだけでなく、作家との出会いや対話を楽しんでもらいたいと考えました」

会場では1年ごとに作品と作家のポートレイト、言葉とが一緒に見られるようになっている。この作家ってこんな顔をしていたんだ、こんなことを言っていたのか、と思うと親近感がわいてくる。一例を挙げるとこんな具合だ。

「美術作品は、植物にみのる果実、母親の子宮にいる子どものように、人間のうちにみのる果実である。」(ジャン・アルプ)

美術史というと◯◯主義とか◯◯イズムなどのムーブメントがよく登場するけれど、そもそもアーティストとはそんな枠からはみ出しがちなもの。個人としての作家にフォーカスすることで、美術史を違う切り口から見る試みだ。

田根はたとえば、マリー・ローランサンの言葉に意外な思いをしたという。

「もし私が他の画家と距離を感じているとしたら、画家たちが男性で、それが私にとって解き明かすことができない問題だからです。しかし、たとえ男性たちの才能に脅威を感じても、私は女性的なものすべてに申し分のない心地よさを感じるのです」というフレーズだ。

「自分が女性作家であることにこんな葛藤を抱いていたのか、と思いました。作品だけ見ていたのではわからないことが、こうして言葉が添えられていると作品自体の意味ももう少し違って見えてくる」

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最終更新:7/21(木) 15:00

Casa BRUTUS.com

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