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育児休業制度の改善へ米20社が「公約」、競合する各社が協調

Forbes JAPAN 7/21(木) 8:00配信

競合する企業同士が、協力し合うことはあまりない。だが、米国ではこのほど、クリエイティブな事業に携わる20社が、それを実行に移した。「プレッジ・ペアレンタル・リーブ(Pledge Parental Leave)」は、従業員の育児休業に関わる環境の改善と透明性の向上という「公約」を掲げた各社の連合だ。



「プレッジ・ペアレンタル・リーブ」プロジェクトは、デジタル・プロダクト・スタジオの「アストゥ(Ustwo)」が発案。クリエイティブな事業を行うその他9社と歩調を合わせ、今年3月から新たな制度の運用を開始した。そして、このプロジェクトには先ごろ、新たに10社が参加を表明したところだ。

各社はそれぞれの従業員に対し、少なくとも以下を提供することを約束している。

・育児休業の取得者が主として育児に関わる立場の場合、3か月分の給料を全額支給する

・健康保険の保険料を3か月間、雇用主が負担する

・育児休業の取得者が主として育児に関わる立場の場合、現在の職務上の立場に復帰できることを6か月間にわたって保証する

・雇用主が支給する育児休業給付金の金額を、インターネット上で公開する

この公約を掲げた理由について、プロジェクトに参加するソフトウェア会社、テンサウザンドフィート(10,000ft)のマルタイン・ファン・ティルバーグCEOは、次のように述べている。

「従業員への給付金の支払いをしっかりと行うことは、当社としては創業当初からの戦略的な決定だ。それが、行うべき正しいことだからというだけではない。わが社のチームのメンバーたちは、会社が職場の中でも外でも自分を支えてくれていると思えば、仕事に最善を尽くしてくれるようになるだろう」

「クリエイティブな事業を行う各社が協力して育児休業に関する環境改善を目指す活動を始めると聞いて、参加しなくてはならないと思った」
--{女性の働き方への影響は──}--
女性の仕事への満足度と直結

女性の労働環境の改善を目指すフェアリーゴッドボス(Fairygodboss)によると、女性の仕事に対する満足度は、有給の育児休業がどれほど認められるかという点と直結している。給付額が高いほど、仕事への満足度は高まる。

多くの企業は最近、育児休業制度の改善に乗り出している。今回の「公約」は、それに足並みをそろえたものだといえる。ただ、観測筋には、「優秀なミレニアル世代の若者を取り込むため、非常に多くの企業がこの問題で競い合っている」との見方もある。

フェアリーゴッドボスによれば、ここ一年半ほどの間に育児休業制度の大幅な改善を公に表明した大企業は、少なくとも30社に上る。公にはしなくても、同様の変更を行った企業は他にも多数あるだろう。

そうした中でも依然として、競合する部分のある数多くの他社から賛同を得て、協調してこれを実行に移したという点で、アストゥが掲げた公約は注目に値する。これらの企業は公にこの問題に関する方針を表明したと同時に、男女平等の推進においても大きな前進を果たしたことになる。

「公約」は育児休業の取得者について「男女を問わない」とするなど、ただ表面的に男女平等を掲げているだけといえるかもしれない。だが、それでも女性の働き方に前向きな影響を与えることになるだろう。出産に伴い、自身のキャリアに大きな犠牲を払うのは大抵の場合、女性だからだ。

今後への期待

プロジェクトに参加した企業の中で今後、「公約」が女性の昇進にどのような影響を及ぼしていくかはまだ分からない。明らかになるのは少なくとも、数年後のことだろう。

しかし、すぐにも恩恵を受ける可能性がある従業員の数は、3,200人を超えるという。育児休業制度のない企業で働く女性は、米国内におよそ数百万人。それに比べれば少ない人数だが、米政府がその他の先進国と同様に育児休業給付を制度として導入するまで、民間部門のこうした努力は大きな前進であり、称賛に値することだといえる。

Georgene Huang

最終更新:7/21(木) 8:00

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