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プロト・パンクの代表的存在、スーサイドのアラン・ヴェガ逝去、享年78歳

ローリングストーン日本版 7/21(木) 13:00配信

「死の直前まで絶え間なくアートを生み出し続けたアランは、真にユニークな存在だった」
去る7月16日、プロト・パンクの代表的存在として知られるスーサイドのシンガー、アラン・ヴェガが自宅で息を引き取った。享年78歳だった。

【動画あり】プロト・パンクの代表的存在、スーサイドのアラン・ヴェガ逝去、享年78歳

ヴェガの死去の事実を公表したのは、親交の深かったヘンリー・ロリンズだった。ロリンズが公開した遺族によるコメントにはこう綴られている。「偉大なアーティストのアラン・ヴェガがこの世を去ったという事実に、言葉にならない悲しみを覚えている」

「音楽にとどまらず、死の直前まで様々なアートを生み続けたアランは、真にユニークな存在だった。1970年代初頭、アランはマーティン・レヴと共にスーサイドを結成し、あらゆる既成概念を覆す独創的な音楽性で世界に衝撃を与えた。その挑戦的なライブパフォーマンスは、後のパンク・ムーブメントに多大な影響を及ぼした。彼らのファーストアルバムは、アメリカの音楽史において最もユニークで野心に満ちた作品のひとつだ。自身のヴィジョンを形にすることに生涯を捧げたアラン・ヴェガは、真の意味でのアーティストだった」

ヴェガは2012年に、心臓発作を発症したと報じられていた。

1969年のストゥージズのコンサートに衝撃を受けたヴェガは、友人のマーティン・レヴと共に、1970年代初頭にスーサイドを結成する。マーベル・コミックの『ゴースト・ライダー』にちなんで名付けられたバンドは、ミニマルで独創的なサウンド、深いエコーがかかったヴェガの浮遊感漂うヴォーカル、そしてレヴが作り出す原始的なシンセサウンドとドラムマシンによるトラックで唯一無二の世界観を作り出し、後のパンクムーブメントに大きな影響を及ぼした。

ローリングストーン誌による史上最高のアルバム500枚に選出される

CBGBやマックス・カンザス・シティでの挑戦的なライブパフォーマンスが話題となっていたバンドは、音楽史に残るデビューアルバム『スーサイド』を1977年に発表。後に初期パンクのアンセムとなる『ゴースト・ライダー』『チェリー』『チェ』、そして恐怖さえ感じさせる『フランキー・ティアドロップ』を収録した同作は、ローリングストーン誌による史上最高のアルバム500枚に選出されている。

スーサイドのデビューアルバムに大きな影響を受けたアーティストは少なくない。中でもブルース・スプリングスティーンは、ヴェガとレヴに惜しみない賛辞を送る。「シンセサイザーとヴォーカルだけで、彼らは素晴らしい音楽を生み出した」1984年のローリングストーン誌のインタビューで、スプリングスティーンはそう話している。「『フランキー・ティアドロップ』は、俺が最も衝撃を受けた曲のひとつだ」

スプリングスティーンのアルバム『ネブラスカ』に収録された『ステイト・トルーパー』には、スーサイドからの影響が色濃く反映されており、ヴェガは初めてこの曲を耳にした時に自身の曲と錯覚したと話している。またスプリングスティーンは、スーサイドの1979年のシングル『ドリーム・ベイビー・ドリーム』をライブで度々披露しており、2014年作『ハイ・ホープス』にはスタジオ録音されたバージョンが収録されている。スプリングスティーンはバンドへの思いをこう口にしている。「スーサイドはアンダーグラウンドを象徴する存在だ。ロックの殿堂入りすべきアーティストだよ」

デビューアルバムと『ドリーム・ベイビー・ドリーム』の成功を経て、ヴェガとレヴはリック・オケイセクがプロデュースを手掛けたセカンドアルバム『スーサイド:アラン・ヴェガ・アンド・マーティン・レヴ』を1980年に発表する。また同年、ヴェガは初のソロアルバムをリリースしている。

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最終更新:7/21(木) 13:00

ローリングストーン日本版

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