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フランス、優勝ならずも意義深かったEURO開催。テロを経験した国が取り戻した活気【現地レポート】

フットボールチャンネル 7/22(金) 10:20配信

 ポルトガルの優勝で幕を閉じたEURO2016。開催国フランスは、ホスト国優勝とはならなかったが、レ・ブルーの躍進で盛り上がった。パリでの同時多発テロを経験し、非常事態宣言が発動中である同国の人々にとって、今回の国際トーナメントは、元気を取り戻す貴重な機会になったと言えそうだ。(取材・文:小川由紀子【パリ】)

【写真】EUROを彩る欧州美女。スタジアムに現れた美しきサポーターたち

すっかりEUROムードの消えたフランス

 夏草や兵どもが夢の跡――

 1ヶ月間、サッカーに明け暮れたEUROが終わったいまのフランスは、まさにこんな感じだ。自国の国旗カラーを身にまとって色とりどりだった各国サポーターは去り、現地の人たちはすっかりバカンスモードに入って、ファンゾーンが設けられていたエッフェル塔の周辺も、4日後の革命記念日にはコンサート会場にお色直ししていた。

 EUROが終わってまだ10日ほどしか経っていないとは信じられないほど、街はいつもの様子に戻っている。

 もしフランスが優勝していたら、お祭りムードももう少しは続いていたかもしれない。しかし決勝戦で終了のホイッスルが鳴った瞬間、華やかにきらめいていたネオンの灯りがパっと一斉に消えたかのごとく、宴は終焉を迎えた。

 あまりに酷だったのは、出だしはファンも半信半疑だったのが、準々決勝でアイスランドに5-2で大勝し、準決勝でW杯勝者のドイツも倒して期待がピークに達していたところで一気に奈落の底へと突き落とされた、この顛末だ。

 フランス人サポーターは「こんな結末、信じられない……」と呆然としていたし、地元記者たちは「決勝で負けるのはあまりに辛すぎる」と顔をゆがめた。中には、「あんな勝ち方で優勝者として恥ずかしくないのか」とポルトガルをなじる人もいた。

 ファンや識者の中にも、90分間での勝利が準決勝のウェールズ戦だけ、というポルトガルが勝つことを「疑問に思う」と感じていた人も少なくなかった。

過小評価すべきでないポルトガルの優勝

 参加国が24ヶ国に拡大したことで、決勝戦に到達するまでの試合数も増え、最後までベストメンバーがベストコンディションで戦えない、という状況が生まれると「面白みを欠く」という声もあった。

 どの意見も一理あるとは思うが、最終的に、決勝を戦った2者は同じ試合数をこなしている。準決勝戦が、フランスはポルトガルより1日遅く、決勝までの回復時間が短かったということは、この大詰めの時期にあって少なくない差ではあるが、ポルトガルも、ラウンド16のクロアチア戦という肝の一戦を中2日で戦っている。

 また、ポルトガルはセンターバックのペペや左SBのゲレイロといった主力が大会中に負傷しつつも、サブメンバーで補いながら、フィールドプレーヤー20人全員を使って勝ち上がってきた。フランスは、累積で欠場になった選手はいたが怪我人はなく、コンディションとしてはポルトガルより良好だったが、主力を極力固定して戦ったため、ジャレ、シュナイデルラン、ディーニュの3人は一度もピッチを踏むことなく大会を終えている。

 つまりはポルトガルのほうが、より多くのオプションで長丁場のトーナメントを戦い抜く力があったとも言えるのだ。しかも決勝戦では大エースのロナウドが早々に退場するという不測の事態まで乗り越えたのだから、彼らの勝利を過小評価すべきではない。

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最終更新:7/22(金) 10:52

フットボールチャンネル

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