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7000人リストラ説のシャープ、若手技術者達の胸中を直撃

HARBOR BUSINESS Online 7/22(金) 16:20配信

「シャープの技術者なら転職も楽でしょ?と言われますが、それは本当に優れたごく一部の人間。少なくとも、工場勤務レベルでは全く当てはまりません。去年に自主退職した方達は、海外メーカーに引き抜かれたという話しもありましたが、中小企業で給料が大幅に下がりながら働いている方がほとんど。中堅社員達が次々と退職していく現状を見て、若手社員の中には転職活動を始めたケースも目立ちます。いつ“明日の我が身”か、と不安を感じますね」

 こう漏らすのは、20代のシャープ若手技術者。経営不振による2度の大量人員削減の影響で、若手社員達の心はもはや完全に離れかけているのかもしれない。

 シャープは昨年8月に、45~59歳の国内社員を対象に募集していた希望退職が3234人になったと発表。当時は、奈良県内すべてのハローワークにて、希望退職者を対象とした早期再就職、生活支援を実施できるよう「シャープ支援」が行われるという異例の事態に発展。ハローワークを訪れた元社員に話しを聞くと、「沈む船に乗り続ける勇気が持てなかった。退職金が充分に出る今のタイミングなら、と退職を決意した」と話していた。

 しかし一方では、“一度目”の人員削減の際には、中小企業を中心に元シャープ社員の囲い込みが行われたとのも事実だ。大手人材紹介会社の営業社員はいう。

「昨年にシャープの大規模自主退職が発表されてから、求人掲載数が飛躍的に伸びました。それは元シャープ社員を欲しいという中小企業が続々と求人に参画したからです。企業の人事担当者からも、シャープの社員を狙うにはどうすれば良いか?という相談もありましたね。特に理系の求人に関してはやはり『シャープブランド』は強く、技術者に対する評価は高いものがあった。中にはシャープ以上の条件で迎え入れるという企業もありました」

◆元シャープ社員囲い込み期を過ぎて……

 事態が一変したのは今年の5月。ホンハイへの買収が決まり、大幅なリストラ敢行が現実味を帯びている。決算概要資料には「グローバルで最大7000人程度の人員削減」との記載があった。

「今回のリストラに関しては40代以上が中心で、工場勤務者、海外での削減が大半とのこと。ただ最大の懸念事項としては、若手社員のモチベーションが著しく低下していることでしょう。実際に40歳以上の社員はほとんど上げ目がない状況を見ているので、自分達の将来も『リストラされてもしかたない』という覚悟の声もあるほどです。若手の技術者はどんどん国内外に流出し、既婚者層は否応なしに転職活動を余儀なくされている状況です」(週刊誌記者)

 別の若手社員はいう。

「今回の買収に関して、若手社員の反応は2つに分かれます。1つは、『窮地を救ってくれてありがとう』という感謝の声。これは成果主義を歓迎する社員たちの層で、特殊な例かもしれません。もう一つは、ホンハイの歴史を振り返っても、将来的なリストラや労働環境が悪くなることは目に見えているという“恐怖”の声。40代以上の社員は、自分の未来に望みがないと半ば諦めムードですが、自分達が40代になった時に果たして会社に残ることができるのか、と不安を募らせています」

 7000人規模のリストラが敢行された場合、その社員たちの転職先はどうなるのか。先出の大手人材紹介会社の営業によれば、その選択肢は限られてくるという。

「現在の中途採用の求人は売り手市場。ただし、その大半はエンジニア、施工管理、設計、営業と特定の職種に偏っている状況です。加えて、対象となる年齢層は35歳前後を求めている企業が多く、年齢的な足枷は年々強くなっている傾向がある。昨年、自主退職者が発表された際は市場にも大きな動きがありましたが、今年はその流れが緩やか。選ばなければ職にあふれることはなさそうですが、その選択肢は極めて少ないかと思います」

 ホンハイに“切られた”社員たちはどこに向かうのか。その未来は決して明るいものとはいえなさそうだ。

<取材・文/HBO編集部>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:7/22(金) 16:20

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