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北村匠海、次世代の“演技派”として頭角を現した背景ーーたしかなキャリアと複雑な役どころに迫る

リアルサウンド 7/23(土) 6:10配信

 村上淳を父、UAを母に持つ村上虹郎や、千葉真一を父に持つ真剣佑など、二世俳優が出演していることでも話題になっているドラマ『仰げば尊し』。今をときめく若手俳優が大集結したこの作品の中で、安保圭太を演じる北村匠海にも注目が集まっている。

 北村はスターダストの若手男性アーティスト集団EBiDANに所属。また、音楽ユニットDISH//のメンバーでもある。もっとかみ砕いて説明すると、EBiDANとは「恵比寿学園男子部」の略であるから、アイドルグループ「私立恵比寿中学」とは姉と弟にあたるし、 ももいろクローバーZの弟分でもある。しかし、彼らはアイドルではなく、あくまでもアーティスト集団と銘打たれている。

 そんなユニットのメンバーである北村だが、実は俳優としてのキャリアは長い。2008年から活動を始め、その年に織田裕二主演のドラマ『太陽と海の教室』や、林遣都、池松壮亮などが主演の映画『DIVE!!』に子役として出演。演技力は昨日今日身につけたものではない。

 特に2009年の映画『重力ピエロ』などでは、岡田将生演じる主人公の弟、奥野春の少年時代を演じている。この春というキャラクターは、モデルである母と、公務員の父の間に生まれた次男であるが、父にも母にもない絵の才能があり、父と顔が似ていないことで、同級生の母親たちから出生について疑いの目を持たれていて、彼自身も複雑な状況にいる。そんな難しいキャラクターを、子ども時代からごく自然に演じているのを見ると、現在、錚々たる若手俳優たちの中で、頭角をあらわしつつあるのも、当然のことと思えた。

 今年は映画『ディストラクション・ベイビーズ』にも出演。『仰げば尊し』でも共演の村上虹郎の友人の健二役を演じている。健二は、地方の港町に住む、ちょっと目立つ、ちょっと不良っぽい仲間の中のリーダー格だったが、普段はいきがっている健二が、海辺で上半身裸になり岩場に寝っ転がろうとしたとき、岩場が思っていたよりもごつごつしていたために、痛がり、いら立つ場面は、短いながらも健二の去勢を張ってはいても小さい感じがよく出ていた。ふとした芝居で、キャラクターのリアリティを出せる俳優だと思った。

 同じく今年はドラマ『ゆとりですがなにか』の3話と4話にも出演。彼女を松坂桃李演じる山路にとられたと思い、彼女と山路の務める学校に乗り込む若者を演じた。漢字も満足に読めず、彼女の携帯をパスワードを0000から順番に解読してまで見るようなストーカー体質で、しつこく山路に迫り、山路に大声で「うっせー童貞は黙ってろ!」と怒鳴る。ともすれば大げさなシーンが多かったが、それを、コミカルかつ、ドラマの中でそこだけ浮くこともなく絶妙なバランスで演じていた。

 これらの作品で、岡田将生や柳楽優弥との共演が多いのは、もちろん事務所が同じということもあるだろう。『ディストラクション・ベイビーズ』では、兄弟を演じ、しかもどことなく雰囲気が似ているため村上虹郎が柳楽のフォロワーのようなイメージを持った人も多いことだろうが、北村もまた、事務所の先輩である岡田将生の子役時代を演じたこともあり、岡田の繊細ながらもちょっと普通とも言い難いという路線を引き継ぐことも考えられる。

 しかし、同時に荒々しく退廃的な柳楽の路線も引き継いだような役もある。そんな風に、さまざまな役を演じながら、今以上に自分の味を見つけていくのではないだろうか。

韮澤優

最終更新:7/23(土) 6:10

リアルサウンド