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ロッテ・井上、取り戻したフルスイング。『幕張のアジャ』後半戦の逆襲誓う【マリーンズ浦和ファーム通信#26】

ベースボールチャンネル 7/25(月) 16:20配信

最高のスタートを切った3年目

 マリーンズの開幕ダッシュの立役者だった。3月25日、まだ肌寒さの残る本拠地・QVCマリンフィールドでのシーズン開幕戦。井上晴哉内野手は6番一塁でスタメン出場をした。マウンドにはファイターズのエース・大谷翔平投手。初回に1点を先制した直後の二死一、二塁。1ストライクからの2球目だった。変化球を迷うことなく振り抜くと、打球はレフト線に落ちた。2点適時打。難攻不落と思われた敵の絶対エースをいきなり打ち崩し、チームを勢いづかせた。この試合、井上はプロ1年目以来、2度目のお立ち台に上がった。

「いつもなら力んだり、緊張をしたりするのに、この時は不思議とプレッシャーを感じることなく打つことができた。捨て身の想いで、キャンプからやってきていた。だからそれが、あの時はいい形で出た。お立ち台は懐かしかったですね。1年目の4月以来ですから。いいスタートを切れた。自分では、ここから、いい感じで進んでいけると思っていた」

 本人が、そして周囲の誰もが、背番号「44」の確変を予感した開幕。しかし今、井上は二軍の本拠地・ロッテ浦和球場で黙々と汗を流す日々を送っている。打撃が好調の中で、マークも厳しくなった。徹底的な攻めの中で、なんとか結果を出そうとするあまり、これまでいい形で整っていた「捨て身」の想いが、いつしか力みとプレッシャーに変化し、思い切りのいい打撃が影をひそめた。その悪循環から数字を落とした。4月25日。二軍落ちを通告された。

「去年は怪我が続き、悔しい思いをした。せっかく、キャンプ、オープン戦と結果を出し、チャンスを手にしたのに、結果的に自分からチャンスを逃すような形になってしまった。落ちた時は悔しかったし、ショックでした」

落ち込んでいる暇はあるのか?

 開幕戦で掴んだはずの手ごたえもいつしか消えてしまった。悩み、落ち込み肩を落としながら二軍に合流した井上を待っていたのは大村巌二軍打撃コーチだった。「ずっと見ていたよ」。優しく、そう声を掛けてくれた。一軍の試合を毎日、テレビで見ていた大村コーチは気持ちの変化に気が付いていた。「自分の持ち味を忘れてしまっているんじゃないかな」。そして肩を落とす井上にハッパをかけた。

「まだまだ課題はある。一日一日、前に進むしかない。そうなると無駄な時間はない。落ち込んでいる暇なんてあるのかな」

 ハッと目が覚める想いだった。キャンプは二軍スタート。そこから捨て身の想いで、アピールをした。2月に練習試合、オープン戦と結果を出し続け、開幕一軍、そして開幕スタメン、開幕ヒーローまでイッキに駆け上がった。しかし、その過程でいつしか初心を忘れ、結果を意識するようになってしまった。周囲の目を気にして、三振を怖がり、当てにいく打撃になってしまった。だが、本来の魅力は114キロの巨体から繰り出す豪快なスイングとそこから生み出される長打。その原点を、どん底に落ちて思い直し、そしてクヨクヨと悔やんでいる自分を恥じた。練習をして、二軍で結果を出すしかない。答えは一つだった。

「例えば、当てにいく打撃で自分がシングルで出塁をしても敵も怖くない。自分の中で勝手に三振をするのをおびえていた。気にしないでもいいことを気にするうちに、自分のスタイルを崩していた。三振をすることを怖がらずにおもいっきり振っていこうと。もっともっと振りを鋭くしようと思った。今は毎日、なにか良かったことを見つけて、成長して一日、一歩でもいいから前に進もうという気持ちで野球に取り組んでいる」

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最終更新:7/25(月) 16:20

ベースボールチャンネル

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