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ブレグジットはチャンス? 英フィンテック企業が10億円の資金調達

Forbes JAPAN 7/25(月) 13:00配信

英国のEU離脱を問う国民投票の前、一部の有識者らは、国際的なフィンテックの中心地であるロンドンへの影響を懸念していた。しかし、離脱決定後に欧州最大のP2Pレンディングプラットフォーム、マーケットインボイス(MarketInvoice)が巨額の資金調達に成功したことで、そうした懸念も和らいだかもしれない。



マーケットインボイスは先日、ポーランドの未公開株式投資グループMICキャピタルの傘下にあるMICテックベンチャーズファンド(MCI.TechVentures Fund)などから、計720万ポンド(約10億円)の投資を受けたことを明らかにした。

2011年に設立され、ロンドンとマンチェスターに拠点を置く同社は、この資金をイギリス最大のP2P融資会社としての「足場固め」のために使うと表明。これまでイギリス企業に8.5億ポンド相当の融資を行っており、2016年末までには融資総額が10億ポンドに達する見通しだ。

P2Pレンディングは、個々の借主と貸主にとって、従来の金融機関を中抜きした直接のやりとりを可能にし、より高水準の金利を実現できるというメリットがある。借主はより低い金利でお金を借りることができ、貸主はより高い利回りで融資を行うことが可能になるわけだ。

だが最近では大規模な事業者が台頭しつつあり、小規模事業者は苦戦を強いられている。さらに、P2Pレンディングの安全性についても疑問視する声があがっている。

これは6月に、P2Pレンディング業者のファンディングナイト(Funding Knight)が現金枯渇により破産申請をしたことなどが原因だ(同社はその後7月に投資会社GLIファイナンスによって救済された)。マーケットインボイスは未払いのインボイスを担保に企業に対して融資を行う形をとっているため、ファンディングナイトとは性格が異なるが、それでも安全性を懸念する声はある。

またP2Pレンディング業者によって行われた融資は、1つの金融機関で預金者1人につき最大75,000ポンド(約1,040万円)の預金保護を行う、イギリス政府の金融サービス補償スキームの対象外となる。

売掛金の支払いをより迅速に

マーケットインボイスは、新たに調達した資金で、より多くの企業がより迅速に、インボイスの譲渡によって売掛金の支払いを受けることができるようにするとしている。企業経営者たちにとっては、待ち時間を節減し、最も重要な経営に集中することができるようになるという。

過去3年間、対前年比100%の成長を続けてきたマーケットインボイスでは、インボイスの金額に応じて2~3%の取引手数料を課している。各企業が資金提供を行いたいインボイスを選択すると、24時間以内に売掛金の支払いが行われる。
--{ブレグジットはリスクではない?}--
2014年にマーケットインボイスに投資を行ったベンチャーキャピタル企業ノースゾーン(Northzone)は、今回さらに150万ポンドの投資を行った。同社は過去20年間に、音楽ストリーミング大手のスポティファイやモバイル決済のアイゼトル(iZettle)などITを使った約120の事業に投資を行ってきた。

今回、マーケットインボイスの役員に加わったMCIキャピタルのシルベスター・ジャニクは、「マーケットインボイスは、従来の融資という昔ながらのセクターを再定義する真に革新的なビジネスの典型例だ。既存の金融機関が革新に消極的な、十分なサービスを受けていない顧客に対して、事業に不可欠な運転資金を提供している」と指摘する。

そしてこの急速に成長を遂げているセクターにおいて、マーケットインボイスには、今後さらに支配的な立場を強固なものにしていく「とてつもなく大きなチャンス」があるとジャニクは予想している。現在同社はP2P代替融資セグメントで約13%の市場シェアを獲得している。

EU離脱の決定を受けて、フィンテックへの投資をリスクと考える人も多くいるかもしれないが、ジャニクはこう主張する。

「マーケットインボイスの場合はその逆だ。経済の減速と銀行セクターの混乱は、同プラットフォームの成長を促進する潜在的チャンスと私たちは考えている。堅実なリスク管理を通して、マーケットインボイスは変化を続ける市場心理に対応する準備が十分に整っていると確信している」

[訂正]金額に誤りがあったため訂正いたしました。

Roger Aitken

最終更新:7/25(月) 13:00

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