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『眼球の夢』―眼球の、眼球による、眼球のための映画

ローリングストーン日本版 2016/7/25(月) 18:00配信

夢野久作の小説『ドグラ・マグラ』は3回読むと発狂すると言われる。では、夢野史郎脚本の映画『眼球の夢』を3度観た場合は如何。

【写真あり】『眼球の夢』―眼球の、眼球による、眼球のための映画

本作の監督を務めるのは、ピンク映画四天王のひとり、佐藤寿保。狂気と正気の境界線をさまよいながら"眼球写真"を撮る女、城所麻耶役をミュージカル出身で映画初主演の万里紗が演じている。

生き別れた眼球を探すべく、カメラを片手に道行く人の眼を暴力的に撮り続ける麻耶。自作ドキュメンタリーの被写体として、彼女の姿を追う脳神経外科医兼ドキュメンタリー映画監督の佐多邦夫(中野 剛)。そして、麻耶の眼を狙う義眼の眼球狩人・蟻塚義晴(PANTA)。3人の運命は交錯すべく交錯し、結果、鮮血の狂宴が始まる。

麻耶と佐多が出会うのは、麻耶が撮りためた写真を展示している個展会場。もちろん、その場は眼の写真でいっぱいだ(『仮面ライダーストロンガー』の百目タイタンも真っ青な、シュルレアルな光景になっている)。今回佐藤監督は、"視線"をテーマにしたという。なるほど、個展会場以外の場面でも、時にはカメラレンズ越しの眼、また時には背景に映し出される眼など、至るところに眼が満ち溢れていて、視線は観ているこちら側に突き刺さる。結局のところ、見られているのは登場人物の動きを覗き見しているつもりの我々だ。

しかし、暗室はどうしてこうも人を不安にさせるのか。セーフライトに照らされた部屋で、フイルムを現像する麻耶。当然の如く顔は真っ赤だ。同様に、朱色の空をバックにした彼女の顔が実際に血で赤く染まった場面も本作には含まれる。・・・そう、この映画で注目すべきなのは、狂気も正気も置いておいて、やはり返り血を浴びたその顔なのだった。美しさは言わずもがな。『人魚伝説』をはじめ、『あずみ』だったり、『孕み―HARAMI―白い恐怖』だったり、はたまた『キャリー』だったりと、数々の名作血まみれヒロイン映画があるが、本作もその中にそっと加えておくべき一作なのだろう。

眼球の夢
★★★

監督/佐藤寿保
出演/万里紗、桜木梨奈、中野 剛、PANTA
7月30日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
http://www.gankyu.net/

RollingStone Japan 編集部

最終更新:2016/7/25(月) 18:00

ローリングストーン日本版

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