ここから本文です

もうどこにも安全な場所がないフランス人の生活

JBpress 7/25(月) 6:00配信

 フランス革命記念日の7月14日、南仏ニースの遊歩道でトラックが花火の見物客に突入、児童10人を含む84人が死亡し、202人が重軽傷を負った。

 このテロを受けて、7月20日、フランスの国民議会が「非常事態宣言の6カ月延長」を賛成多数で可決した。

 「非常事態宣言」は、2015年11月15日のパリ同時テロ直後に発令された。当初は12日間だったが、その後、3か月ごとに延長された。フランソワ・オランド大統領は、7月14日午後1時から革命記念日の恒例となっているテレビ会見に臨み、「7月26日に非常事態宣言を終了する」と宣言したところだった。まさに舌の根も乾かないうちの前言撤回となってしまった。

■ 「政府は何をやっているのか」

 今回のトラック突入テロでは、「イスラム国(IS)」が犯行声明を出すまで、テロ犯のモハメド・ラフエジブフレル(31歳)はISとの関連は薄いと見られていた。

 モハメドはチュニジア出身で、数年前にニースに移り住んだ。チュニジア系フランス人の妻との間に3児を設けたが、離婚した。仕事は小型トラックでの配送だった。信仰心は薄く、ショートパンツを愛用し、飲酒の習慣があり、モスクへの出入りもなく、ラマダン(イスラム教徒の断食期間)も実行していなかったという。

 フランスには公安の監視対象のリストとして「Sリスト」があるが、モハメドの名前は記載されていなかった。ベルナール・カズヌーブ内相はこの点について、「急激に過激化したようだ」と言い訳をしている。

 Sリストの有効性については批判が多い。2015年1月の「シャルリ・エブド」襲撃テロの犯人であるクアシ兄弟や、11月のパリ同時多発テロのテロリスト10人のうち大半がリストに記載されていたが、十分に監視されていなかった。リストの記載者数は約3000人と多いため、監視困難という理由で実質的に放置されているのだ。

 国民議会のテロ調査委員会は、ニース事件の直前にSリストの記載者全員を収容する留置所の設立などを求める報告書を内相に提出した。だが、内相には一蹴されている。

 こうした対応に、国民の間には「政府は何をやっているのか」という怒りの声が上がっている。

 ヴァルス首相が、7月17日に現場で行われた犠牲者を悼む式典に出席した時には、住民から激しいブーイングが起きた。

 遺族の中には、当局の警備不備を告訴する動きもある。

 当日は、花火見物の3万人の人出が予想されていたのに、警官、憲兵隊など警備の人員は約100人だった。また、現場の遊歩道は車両の進入を禁止していたが、市警の警官がトラックの突入を阻止できなかったことも批判の的となっている。テロが予想される観光名所などには「ロケット砲を準備するべきだ」(アンリ・グエノLR議員)との声も出ている。

■ 一本釣りでテロリストを確保するIS

 一方、ISはこのところ戦略を変えてきている。

1/3ページ

最終更新:7/25(月) 6:00

JBpress

記事提供社からのご案内(外部サイト)

JBpress PremiumはJBp
ressが提供する有料会員サービスです。
新たな機能や特典を次々ご提供する“進化
するコンテンツ・サービス”を目指します。

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。