ここから本文です

独立リーグのベテラン選手“伴ちゃん”に注目してほしい。お笑い芸人・杉浦双亮の挑戦記〈21〉

BEST TIMES 7/26(火) 21:00配信

独立リーグにある唯一無二の夢

 独立リーグにはたくさんの夢がある。

 僕には「プロ野球選手になりたい」という夢があり、それをここで叶えてもらった。けれど、当然、独立リーグでプレーしているほかのメンバーたちには夢の続き、いやもっと大きな夢がある。

 NPB。
 日本最高のプロ野球を目指すことだ。

 僕が所属する愛媛マンダリンパイレーツにはこのNPBを経験した選手がたくさんいる。正田樹投手のようにNPBで活躍をした選手もいれば、柴田健斗投手や古村徹投手のように一軍を経験することができなかった選手、デニングのような外国人選手だっている。
 彼らの思いも同じだ。もう一度NPBでプレーしたい。

 そんな環境の中で野球をやらせてもらって、たくさんの刺激を受けた。そして、独立リーグ、四国アイランドリーグの魅力をもっとみんなに知ってもらいたいと思った。

 尊敬している投手がいる。彼は、独立リーグにある「夢」を背負い、そして四国アイランドリーグの魅力を体現している選手だと思う。

 伴和馬。僕が伴(ばん)ちゃんと呼んでいる、愛媛マンダリンパイレーツに所属するピッチャーだ。

 伴ちゃんは1990年の2月生まれで、いま26歳。学年で言えば27歳の歳だ。僕からするととても若いけれど、独立リーグではベテランの部類に入る。
 その理由は、NPBを夢見ることがいかに高い壁に挑むことかを示している。独立リーグの生活は楽じゃないし、多くの競争もある。プロを目指すなかで、ライバルは独立リーグのなかだけではない。高校生からもたくさんの有望な選手が現れてくる。「夢を追い続ける」という選択肢を取ることはそれくらいしんどい。

最速145キロ右腕の本当にすごいところ

 そんな中で、伴ちゃんは四国アイランドリーグ所属5年目を迎えている。もっとも長く四国アイランドリーグにいる選手(5年目の選手はリーグでも4人しかいない)であり、NPBを経験していない投手としては(僕をのぞいて)最年長選手でもある。

 コントロールがものすごく良く、ストレートも145キロに届く。売りはよく動くツーシームだ。前期日程も、ケガで出遅れたにも関わらず、先発、中継ぎとフル回転し、正田投手の52回に次ぐ49回を投げ、3勝2敗。優勝に大きく貢献した。

 どちらかと言えば、あまり口数が多いほうではない。黙々と打ち込むタイプで、その姿勢からはNPBへの思いをひしひしと感じる。だから、きっとものすごく勉強家なのだろう、体や健康についてもものすごく詳しい。

 まだ僕が入団する前の、トライアウトでの出来事。

「これを使ってください」

 トライアウトの手伝いに来ていた伴ちゃんが、自分が使っているという、とてもいいシップを僕にくれたことがあった。前にも書いたようにトライアウトは7日間連続で試合をするのだけれど、(当時)39歳だった僕の体は悲鳴をあげていた。肩と肘、両方とも限界に近くなり腫れあがっているのを見て、初めて対面する僕に気づかいをしてくれたのだ。とても嬉しかったことを覚えている。
 チームメイトになってからも「体には気をつけてくださいよ」と、ことあるごとに声を掛けてくれる、とてもいい人だ。

 実は伴ちゃん、もともと野手だった。最初に所属した香川オリーブガイナーズ時代に投手に転向したと言う。だからというわけでもないだろうけど、チームの日本人の中でもっとも脚が速い。そしてもっとすごいのは、出場機会があるのならば、ということで代走の準備をしていることだ。シーズン中も、登板機会がない試合の終盤になるとスパイクに履き替え、ベンチの前でダッシュを繰り返している伴ちゃんの姿がある。実際、昨シーズンには出たこともあったらしい。

 こうした強い夢への意思がある選手だからファンの方からもものすごく人気がある。僕もその姿勢を見習っていきたいと強く思わされる選手のひとりだ。

 四国アイランドリーグにいると、いつまで追えるか分からないという危機感の中で、本気で夢を追っているたくさんの選手たちの気持ちに触れることができる。僕はまだ一年目で、チームに貢献もできていないのに体はつねにパンパン。繰り返しになるけど、生活だって楽じゃない。それをずっと続けているだけで尊敬できる彼らは、もっと上を目指しているのだ。

 魅力がいっぱいつまった四国アイランドリーグ、本当にぜひ一度見に来てほしいなと思う。
 

 

文/杉浦 双亮

最終更新:7/26(火) 21:15

BEST TIMES

記事提供社からのご案内(外部サイト)

BEST TIMES

KKベストセラーズ

笑える泣ける納得する!KKベストセラーズ
の編集者がつくる「BEST TIMES」
(ベストタイムズ)。ちょっとでも皆さんの感
情を揺さぶれたらいいな、と思います。

Yahoo!ニュースからのお知らせ

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。