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傍若無人の中国を孤立させたフィリピンの英知

JBpress 7/26(火) 6:15配信

 中国が国際法を守らない国であることがいよいよ鮮明になった。これまでも、中国は自国に力がない時はじっと我慢して、力がついた段階で一気に攻勢に出る「韜光養晦(とうこうようかい)」戦略をとってきた。

 日中中間線付近のガス田の一方的掘削や尖閣諸島の領海侵犯、並びに南シナ海の内海化などは、中国の韜光養晦戦略に基づく行動である。

 改革開放以来の経済発展によって軍備増強が可能となり力がつくと、世界を牛耳る力を持った中国であることを認めよ(G2論)と米国に迫ったこともある。しかし、人権尊重や国際法の遵守など、ステークホルダーとしての責任感が見られない点などから、米国は潔い返事をしてこなかった。

 こうして、中国はがむしゃらに力の戦略を選んだとみられる。「裁定は確定的で上訴できない」とされる今回の仲裁裁判所の判断を、「政治的茶番」「紙屑」と称して無視する態度をとっている。

 国際法の番人の一角には到底置けない「異常な国」であることを、まざまざと見せつけている。

 国連安保理の常任理事国として、世界の平和と安定に責任を負うべき中国が、確定的な効力を持つとされる仲裁裁判所の裁定を侮り、自ら大国にふさわしくない態度を示しているわけである。

 日本は過去にこの中国を相手にして難癖をつけられており、今後も相手にしなければならないわけで、無関心ではおれない。

■ 鄧小平の「棚上げ」ペテン戦略

 中国では、2021年の共産党結党100周年が迫っており、力の誇示を推し進めてでも、人民に共産党の偉大さと政権の正統性を示さなければならない。その1つが、東シナ海や南シナ海を包含する第1列島線の内海化であるに違いない。

 韜光養晦は使い勝手のいい戦略である。日本は日中国交正常化以来、中国の国力造成にODA(政府開発援助)約3兆7000億円を投与した。しかし、中国は感謝の言葉を述べることもなく、今では戦時賠償であったと言わんばかりの口吻である。

 日中中間線のガス田も、尖閣諸島の領海侵犯も、そして南シナ海の人工島造成も、韜光養晦の戦略を愚直に守り通してきた成果という以外にない。

 尖閣諸島が日中間で語られたのは国交交渉で田中角栄首相が訪中して周恩来首相と会談した1972年であるとされる。日本は領有権が問題になるとは思ってもいなかった時期であり、日本の国力も格段に大きく、探りのジャブを入れるくらいの感覚であったに違いない。

 田中角栄首相が日本の領有権を確認するためか尖閣諸島に言及すると、周恩来は「これ(尖閣問題)を言い出したら、双方とも言うことがいっぱいあって、首脳会談はとてもじゃないが終わりませんよ」と言ったとされる。

 田中首相も横綱の積りであったか、「それはそうだ、じゃ、これは別の機会に」と受けて流し、交渉は終わったとされる。

 それから6年後の1978年、批准書交換のため来日した鄧小平が「こういう問題は一時棚上げして、次世代のもっと知恵があるものに任せよう」と提案したのである。

 日本が(領有権に)問題ないと思っていても、中国側からすると、「棚上げ」とは、韜光養晦戦略で力がつくまで待つということであったのである。

 日本がのんびり構えているところに、中国は1992年に海洋法を制定して尖閣諸島を自国領として組み込んでしまう。その後、頻繁に領海侵犯を繰り返すようになる。

 こうした動きに危機感を募らせた日本、特に石原慎太郎東京都知事は、個人所有の島嶼を都で買い上げる動きに出る。その後、国が所有者を懐柔して国有化する。2012年のことである。「棚上げ」という現状を変更しようとしているのは日本側であるという中国側の指摘は全く当たらない。

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最終更新:7/26(火) 17:35

JBpress

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