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寛容であるがゆえに狙われたバングラデシュ

JBpress 7/26(火) 6:10配信

 人口の9割がイスラム教を信仰するバングラデシュ。特別な生活習慣といえば、飲酒や豚肉食がタブーで、金曜日が休日であることや1日5回の礼拝がある程度で、それ以外はそれほど日本とかけ離れているわけではない。

 「穏健かつ寛容なイスラム教国」とも言われるバングラデシュは、高い経済成長を維持する民主主義国家でもある。シェイク・ハシナ首相が率いる「アワミ連盟」政権は、特定の宗教の影響を排する「世俗主義」を掲げ、外国からの援助や資本を受け入れ、2021年までに中所得国入りを目指す積極的な経済政策を推進してきた。

 東アジアや東南アジア諸国のようなスピーディーな発展は描けないが、現地には間違いなく“上昇の機運”が生まれていた。

 しかし今、ようやく軌道に乗りつつあった経済発展に影がさし、「穏健かつ寛容」であり続けることも危ぶまれつつある。

■ ISの存在を否定し続けたバングラデシュ政府

 7月1日、ダッカのレストランで日本人7人を含む外国人20人が武装勢力に殺害され、事件後に「IS(イスラム国)」が犯行声明を出した。

 実はこの事件が起きる前からバングラデシュ内でISは活動していた。だが、政府はそれを認めようとしなかった。

 2015年秋、バングラデシュでイタリア人と日本人(星邦男さん)の2人の外国人が続けざまにに殺害された(イタリア人は9月28日、星さんは10月3日に殺害)。このときISを名乗る犯行声明が出たが、ハシナ政権は「バングラデシュではISは存在しない」とISの関与を否定した。

 しかしダッカに拠点を置く各国大使館は、早い段階から国際テロ組織の活動に関する情報をつかんでいた。2人の外国人が殺害される事件の前に、米国、英国、カナダなど5カ国の大使館は「バングラデシュ在住の外国人が攻撃される計画があることを、すでにつかんでいた」(ニューヨーク・タイムズ紙)という。

 同年9月の時点で、米政府高官がバングラデシュ当局に「国境近くでISと関連を持つテロリストが活動の準備をしている」と警告したが、同国政府は「これは野党の陰謀だ」取り合わなかった。ちなみに、「国境近く」とはまさに星邦夫さんが殺害されたランプル県である。

 バングラデシュで命を狙われたのは外国人だけではない。バングラデシュ人のブロガー、ジャーナリスト、学者、またヒンドゥー教やキリスト教の聖職者などもターゲットとなった。彼らの多くは「異教徒」であり「世俗主義者」である。現地紙「デイリースター」(2016年6月発行)によれば、「過去18カ月で47人が殺害され、そのうち28人がISによるもの」だという。

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最終更新:7/26(火) 6:10

JBpress

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