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北朝鮮が制裁後初の大型展示会を大連で開催も閑古鳥。それでも大連に拘る理由

HARBOR BUSINESS Online 7/26(火) 9:10配信

 7月15日から18日までの4日間、中国大連で、国際展示会「国際電子商取引・産業産品博覧会」が開催された。中国の一地方都市の博覧会が日本のニュースや新聞でも報じられたのは、北朝鮮企業が出展していたからだ。そう、今年3月に北朝鮮に対する国連制裁が強化されて以降、初の大規模展示会だったので注目されたのだ。

⇒【画像】ブースの模様

 今回の会場は、夏のダボス会議などでも利用された「大連世界博覧広場」という大型施設が使われている。

 北朝鮮が参加する博覧会では中朝国境の丹東で開催されることが多く大連では珍しい。ではなぜ、今回、大連で開催されたのか。理由はいくつか考えられる。まず、人口規模だと大連市(約593万人)は、遼寧省の省都である瀋陽市(約823万人※いずれも在瀋陽日本領事館より)には及ばない。しかし、大連は瀋陽より外国人が多く、日系を中心外国企業が多いこと。そして、何よりも北朝鮮が頼みの綱としている中国の少数民族「朝鮮族」の企業活動が大連では盛んなことが要因として考えられる。

 本博覧会は、大連の企業などで構成されれる実行委によって主催されており、関係者によると冷え込んだ中朝貿易や人的交流を下支えしたい狙いがあるようだ。

◆閑散としていた会場

 ところが、公式事前告知では、北朝鮮企業約40社、北朝鮮関係者約200人来場、展示商品には医療機器や金属加工品などもあったが、いざフタを開けてみると、医療機器も金属加工品はなく、参加企業は25社、参加者は100人ちょっとと事前告知より減り空きブースも目につく。

 初日の開幕式へは、北朝鮮の対外経済省からの代表が出席するなど北朝鮮としても本博覧会へ力は入れているようだが、博覧会を訪れる来場者は少なく寂しげだ。

 その理由の1つは展示物にありそうだ。発動中の国連制裁に抵触するような鉱物関連や重機械類などの展示はなく、マツタケや高麗人参、ハチミツなどの特産品。チマチョゴリなどの衣類。オットセイを原料とした精力剤などの健康食品。高血圧や糖尿病などの医薬品。アコーディオンなどの軽工業品。他にも、焼酎やビールなどアルコール飲料、絵画、たばこなど特に目新しい商品は見つけられない。

 博覧会2日目の16日午前に訪れた朝鮮族バイヤーは、「会場がガラガラでびっくりしました」と第一印象を語り、「買いたいと思える商品がまったくないですね。特に大連は日本など海外からの輸入品が普通に売られている場所なので、消費者は中国の都市の中でも目が肥えていると思います」

 さらに、まだ2日目なのに売れ残ると処分に困るので値引きするから商談させて欲しいと北朝鮮側から泣きついてきたという。

 北朝鮮ブースの男性に話を聞くと、「以前、丹東では大勢の来場者がいてよく売れたが、今回、来場者が少なすぎて意外だった。大連は丹東よりも来場者が多いと主催者から聞いていたので残念だ…」と早くもあきらめモードに入っており、来場者が少ないのは、主催者側の告知不足なども影響したと言えそうだ。

 会場を訪れた朝鮮族バイヤーの1人は、かわいそうなので個人的に何か買ってあげようかとも思ったが魅力ある商品がないので止めたと話す。

 また別の朝鮮族経営者は、「北朝鮮商品を扱う会社が、中国だと丹東や瀋陽の会社が多く、あとは北朝鮮から直接出展した会社で9割以上を占め、地元大連の会社は数えるほどしかない。私としては、大連の会社と取引したいので、契約は難しい」

◆朝鮮族が頼みの綱の北朝鮮

 大連に限らず中国では信用がない前提で商売をする必要があるため上記のような話はよく耳にする。知り合いの知り合いなど関係やつながりを重視する経営者は少なくない。

 大連では、今年5月に北朝鮮の経済特区である羅先(ラソン)の投資説明会を開催する予定だったが、会場予定だった大連最大のイベント会場「大連国際会議センター」の使用を大連市政府が許可しなかったため中止となった経緯がある。

 それでも北朝鮮は、大連を中朝交易の重要都市に位置づけており、今後、北朝鮮が制裁による制約が強まる中で中朝貿易拡大のため朝鮮族頼りへの傾向は、ますます加速していきそうだ。

<取材・文/中野鷹>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:7/26(火) 9:10

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