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学校教育をめぐる誤解と謎(14) ―変化する学校給食 保護者も子供も知らないこと

教員養成セミナー 7/27(水) 11:00配信

■変化する学校給食

 「最近の給食はおいしくなった」との話を聞きます。確かに、学校等へ取材に行くと、昔よりも食材も豊富で、見た目にも美味しそうな給食を見かけることが少なくありません。背景には、食材の流通、保存、調理の進化などがあるのでしょう。

 もう一つ大きな変化として挙げられるのは、給食に対する“考え方”が変わってきた点です。その昔は、「好き嫌いはダメ」「最後まで食べきりなさい」という指導が徹底され、昼食時間が終わって休み時間になっても、延々と食べている子が珍しくありませんでした。

 しかし、最近では食物アレルギーへの理解が深まったこともあり、給食を完食させる傾向は、以前よりも少なくなってきています。学校によっては、2つの献立を用意して子供に選ばせたり、定期的にバイキング形式の給食を実施したりといった取り組みも行われています。

 振り返れば、学校給食は歴史とともに、その実施形態が変化してきました。その起源は1889(明治22)年にまで遡り、山形県鶴岡町(現・鶴岡市)にある忠愛小学校が、生活が苦しい児童におにぎりと焼き魚、漬物を提供したのが最初だと言われます。同小学校の跡地には、「学校給食発祥の地」と書かれた記念碑が設置され、同市では毎年1回、当時の給食を再現する形で「おにぎり給食」が実施されています。

 その後、学校給食は「欠食児童対策」として全国各地で行われるようになっていきますが、戦時下体制に入ると、食糧事情の悪化からいったん中断されます。戦後は、諸外国の食糧援助により再開され、1954 年には学校給食法が制定されて、全国的に実施されるようになりました。

 その後、脱脂粉乳が牛乳に代わり、米飯給食が登場し、果物や麺類なども提供されるようになっていきます。2014 年度における完全給食の実施率は小学校で98.4%、中学校で81.4%に上り、学校給食が教育活動を支えるインフラとなっていることが分かります。


■自校方式とセンター方式

 学校給食の供給形態は、大きく2つに分けることができます。一つは、給食を学校内で調理・提供する「自校方式」、もう一つは給食センター等で調理して、複数の学校に配送・提供する「センター方式」です。

 筆者の小学生時代は「センター方式」だったため「自校方式」があると聞いた時は、「学校の中で調理するなんて!」と驚いたものです。一方で、その話を友人にしたところ「学校の外で作って運んでくるなんて」と、逆に驚かれました。果たして、全国的にはどちらが一般的なのでしょうか。

 文部科学省が公表する「学校給食実施状況調査」によると、2014 年度において給食を「単独調理場方式(自校方式)」で供給している学校は小中合わせて1 万2、091 校。一方の「共同調理場方式(センター方式)」は1 万5、542 校となっており、総数ではセンター方式の方がやや多くなっています。

 自校方式とセンター方式、それぞれのメリットとしては、次のようなものが挙げられます。

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【自校方式のメリット】
○ 出来立ての料理を提供できる
○ 調理する人の顔が見え、調理場が食育の良き教材となる
○ 学校行事等に対応した献立が提供できる
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【センター方式のメリット】
○ 大量生産に伴うコストダウンができる
○ 統一的な衛生管理・アレルギー対応ができる
○ 大型設備によりバラエティに富んだ料理の提供ができる
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 自校方式の学校では、4時間目頃になると調理場の方から美味しそうな匂いが漂い、食欲をそそったという人も多いようです。その一方、自校方式の場合は、給食費の未納が多いとその影響が大きく、給食の質を落とさなければならないケースもあると聞きます。

 どちらが良いかは一概に言えませんが、毎日1回、栄養バランスを考え抜かれた食事が安価で提供されることは、家庭にとってはとても有り難いことに違いありません。


■教員にとって給食の時間は休憩ではない

 一般企業の場合、昼食時間は休憩扱いとなりますが、学校教員の場合はそうもいきません。給食の時間には、「給食指導」があるからです。

 給食指導は、教師が子供たちの配膳や食事、後片付けなどに付き添い、指導することを言います。盛り付けが適切かつ均等に行われているか、食が進んでいない子がいないか、後片付けがきちんと出来ているかなどをチェックし、必要に応じて指導します。その他に、給食当番を決めたり、「おかわり」のルールを決めたりといったことも、給食指導の一環と言えます。

 この時間帯、教師は実質的に休むことができません。休み時間や掃除の時間も同じで、授業の準備や子供たちへの指導に忙殺されます。特に小学校の教員は、1~6時間目までびっしりと授業が入り、一息つく間など全くない日も珍しくありません。

 一方で、労働基準法は労働者に対し、6~8時間の勤務に対して45 分間、8時間以上の勤務に対して1時間の休憩を与えなければならないことを定めています。ならば、学校は労基法違反なのか…との指摘も受けそうですが、勤務時間としては放課後を休憩時間として割り当てている所が多いようです。

 とはいえ、教員が放課後にきちんと休憩を取っているかといえば、そうとも言えません。子供の補習に付き合ったり、会議に参加したり、書類作成に追われたりするうちに、休憩時間が潰れているケースは多いようです。

 そもそも教師とは、公私の境目が曖昧な職業。休憩時間だけでなく、残業や休日出勤についても、正確な勤怠管理が行われているとは言えない実情があります。この点は、制度的な枠組みを含めて検討・改善していく余地があると思いますが、「昼食くらいは、ゆったりと食べたい」と言う人には、あまりお勧めできない職業と言えるかもしれません。

佐藤 明彦(『教員養成セミナー』編集長)

最終更新:7/27(水) 11:00

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