ここから本文です

中国軍の3Dプリンタ活用は日本より20年進んでいた

JBpress 7/27(水) 6:00配信

 前回(「もう目の前? 戦闘機が飛びながらミサイルを作る日」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47316)に続いて、3Dプリンタの軍事転用の最先端の現場を見ていく。

 前回指摘したように、米軍ではF-18、F-35の金属製パーツだけでなく、ついにオスプレイのエンジン部品まで3Dプリンタで製造を始めるなど、その軍事転用はとどまるところをしらない。

 そして、中国軍も2001年(実質的には1995年)より本格的な研究を開始しており、3Dプリンタの実戦配備を進めている。他方、自衛隊のレベルは1995年以前のレベルにとどまっている。今回はその深刻な技術格差を実例をもとに指摘したい。

■ 研究だけでなくすでに実戦配備も

 中国軍は、軍事転用可能でありチタン合金等を扱える3Dプリンタの研究を2001年に開始していたという。西北工業大学は1995年から金属粉末をレーザーで焼結する3Dプリンタ方式を研究していたとの報道もあり、明らかにこれは軍事転用を見据えてのことだろう。その甲斐もあり、今や民生用でも中国は米国に続く3Dプリンタ大国である。

 軍事面では既に研究だけでなく、実戦配備も行われている。

 具体的な用途は、様々な部品や兵器システムの試作品の作成、量産、修理に活用されている。特に著しいのは航空機部門だろう。中国は軍民問わず、3Dプリンタによるチタン合金部品製造で世界のリーダーになることを目指しており、既に9割の航空関係の原材料を3Dプリンタで生産でき、コストは従来の5%で済むという。しかも、剛性を維持したまま40%の重量削減に成功した部品もあるという。

 中国軍の空母艦載機であるJ-15戦闘機は、訓練飛行で損耗した小部品の交換用に3Dプリンタが使用されているという。J-16戦闘爆撃機、J-20ステルス戦闘機、J-31ステルス戦闘機にも3Dプリンタが活用されており、特にJ-15とJ-31はチタン合金製の「着陸装置」が3Dプリンタで生産されているという。着陸装置とは要するに航空機の車輪である。最も荷重がかかり、大事な機構であることから、中国軍が3Dプリンタをどれだけ評価しているかが分かるだろう。

 中国海軍も同様である。駆逐艦ハルビンは2013年にアデン湾で海賊対処中に、主機関の金属ベアリングが破損し立ち往生したが、艦艇に搭載した3Dプリンタで新たに製造し、見事に戦線に復帰した。また、別の海軍艦艇も破損したトランスミッションギアを艦内の3Dプリンタで新品を製造し、取り換えたという。

 これらの件について、中国海軍の複数の軍人がメディアに「我々は3Dプリンタ技術の使用により、利益を得ている。3Dプリンタは部品を素早く修理・生産できるミニ工場みたいなものだ」「中国海軍にとっての3Dプリンタは試験段階にあるが、明らかに明るい見通しがある」などとコメントしており、彼らが戦闘力を維持する(仮に損傷・故障しても母港に戻らず戦闘を継続する)ための道具として重視していることが伝わってくる。

■ 3Dプリンタ部隊が現地で部品を製造

 陸軍もまた熱心である。機甲部隊工学学校は、装甲車や戦車の大部分の金属部品(戦車砲や銃身のような高精度部品を除く)を製造可能な専用3Dプリンタの開発に成功している。これは毎秒100グラムの速度で製造可能な性能を持っているという。

 実際の運用でも陸軍は手広く活用している。例えば、成都方面軍は、2015年夏にメディアを招いて、戦場での3Dプリンタ活用演習を実施した。

1/3ページ

最終更新:7/27(水) 6:00

JBpress

記事提供社からのご案内(外部サイト)

JBpress PremiumはJBp
ressが提供する有料会員サービスです。
新たな機能や特典を次々ご提供する“進化
するコンテンツ・サービス”を目指します。

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。