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人を惹きつけるためには、視線は上下左右どこに外すといい?

HARBOR BUSINESS Online 7/27(水) 16:20配信

 話を聞いていて、つい引き込まれる人もいれば、逆に、話を打ち切りたくなる人もいる。パーティーなどの場で、つい近くに寄りたくなる人もいれば、離れたくなる人もいる。日頃から、人の輪の中心になる人もいれば、孤立している人もいる。誰しも、双方のタイプの方々が、すぐに何人も思い浮かぶに違いない。

⇒【資料】視線の外し方によって与える印象一覧

◆相手を引き付けるための、とても簡単なスキル

「両者の違いは何だろうか?」

 演習で問いかけると、人間としての魅力、総合力、コミュニケーション力……といった、漠然とした答えが返ってくる。そして、「相手を引き付ける力というものは、生まれ持った資質や、その後の長年の人生で培われたものだから、今更どうしようもないし、少なくもとも一朝一夕には変わらない」という見解に接することが実に多い。

 もし、誰でも知っていて、とても簡単なスキルを身に付けさえすれば、相手が自分の話に引き込まれるようになり、相手が近づいてくる度合が高まり、人の輪の中心になれるとしたら、そのスキルを身に付けてみようと思わないだろうか。それもたった1分の、一人でもできるやり方を、繰り返して身に付ければよいのだ。今回は、そのスキルの身に付け方を紹介したい。

◆視線をはずす方向は、さまざま

 相手を引き付けるためのスキルを分解していくと、実は、とても簡単なパーツスキルを身に付けると、格段に相手を引き付ける度合が高まることが、分解スキル・反復演習型能力開発プログラムを実施する中でわかってきた。そのスキルとは、視線のはずし方のスキルなのだ。

 なんだ、そんなことかと、思う人も多いに違いない。しかし、「では、どのように視線をはずしたらよいでしょうか?」と問うと、実は、答えはさまざまで、上、下、横、斜上、斜め下と、約20%ずつにばらつく。「百聞は一見に如かず」なので、自分自身で自分の視線のはずし方を確かめてもらう。演習では、2人一組になっていただき、1分程度の自己紹介をする。それを、スマートフォンで、できるだけ正面から録画し、自分で再生して、視線をどの方向へはずしているか確認するのだ。結果はやはり、ばらつく。

 視線はこのようにはずすと相手を引き付ける力が高まるといくら解説しても、頭ではわかったつもりになるが、実際にそれを体現できるようにならないので、解説はしないで、自分自身の話し相手になったつもりで、再生動画の中の自分が視線をはずすたびに、話し手に対してどのような感情を抱いたかを書き出していただく。視線をはずす方向別に、書き出した結果をまとめると、概ね次のようになる。

◆外し方によってはネガティブな印象を与える「視線」

 上も、斜めも、横も、聞き手に対して違和感を与えているのだ。特に、横へ視線をはずした場合には、聞き手を否定しているような、ネガティブなメッセージを与えかねない。横へはずす動きが、Noという意味合いを伝えてしまうのだろう。

 話し手は、「私は思い出そうとしている」、「時間を気にしている」、「落ち着かない」、「聞き手を否定している」などと、聞き手に伝えたいわけではない。むろん、言葉で言っているわけではない。にもかかわらず、聞き手には、このようなネガティブな印象を持たれてしまうのだ。それも、視線をはずしただけの、これ以上ないほどのシンプルな、一瞬のアクションによって、そのような帰結をもたらしてしまう。

 これを逆手にとれば、このとてもシンプルで簡単な、一瞬のアクションを工夫して、聞き手にこれらのネガティブな印象をもたれないようにし、逆に、ポジティブな印象をもたれるようにすれば、真逆の良い効果をもたらせることになる。

◆視線を下にはずし、Yesのメッセージを伝える

 ポジティブな印象を持たれる視線の外し方。それは、視線を下にはずす方法だ。視線を下にはずした場合には、聞き手は、「自分に対して、誠心誠意話してくれている」という印象を持ち、聞き手にうなずきかけながら、肯定してくれているような印象を持たれている。視線を下にはずす動きが、Yesという意味合いを伝えるのだろう。

 複雑な動作の組み合わせではない、とても単純な動作だ。長い時間を要する動作ではない、一瞬のアクションだ。「なんだ、そんなことか、誰にでも簡単に身に付けられそうだ」と思う人もいるに違いない。

 しかし、これを漠然と身に付けようと思っても、身に付かない。なぜならば、長年の習慣で、さまざまな方向へ視線をはずす癖が身に付いてしまっているからだ。しかし、この癖は治る。一定時間、集中して、意識して反復演習しさえすれば、新しい型を体に覚えさせることができる。そこで、繰り返し、繰り返し、下に視線をはずす練習を行うのだ。10分ほどの反復演習をして、日常生活の中で、気にし続けていれば、必ず身に付き、1か月もたたないうちに、無意識のうちに、視線を下にはずせるようになっていることに気づくだろう。

 一瞬の、たったそれだけのスキルを身に付けることで、話を聞いていて、つい引き込まれ、パーティーなどの場で、つい近くに寄りたくなり、人の輪の中心になる存在になり、人心掌握できるようになるのだ。

※「アイコンタクトのはずし方」のスキルは、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社)のドリル2で、セルフトレーニングできます。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第11回】

<文/山口博 イラスト/geralt via pixbay(CC0 PublicDomain)>

※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。

【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。国内外金融機関、IT企業、製造業企業でトレーニング部長、人材開発部長、人事部長を経て、外資系コンサルティング会社ディレクター。分解スキル・反復演習型能力開発プログラムの普及に努める。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日経ビジネスセミナー講師(2016年)。日本ナレッジマネジメント学会会員。日経ビジネスオンライン「エグゼクティブのための10分間トレーニング」、KINZAI Financial Plan「クライアントを引き付けるナビゲーションスキルトレーニング」、ダイヤモンドオンライン「トンデモ人事部が会社を壊す」連載中。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。慶應義塾大学法学部卒業、サンパウロ大学法学部留学。長野県上田市出身

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最終更新:7/27(水) 16:20

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