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7月FOMCを終えて-Near-term risks have diminished

NRI研究員の時事解説 7/28(木) 9:14配信

はじめに

7月FOMCで、FRBは市場の予想通りに金融政策の現状維持を決めた。今回は市場の注目度も低かったし、実際に米国メディアの報道も大統領選の展開より小さな扱いとなった印象を受ける。それでも、今回のFOMCは、声明文に対する一つの文の追加を通じて、市場に対して今後の予想を再考するよう求めているようにも見える。いつものように声明文の内容と意味合いを検討しよう。

金融経済情勢の評価

声明文の第1パラグラフに示された金融経済情勢の評価は、前回(6月)に比べて上方修正されている。なかでも労働市場については、5月のNFP増加の大幅減速を受けて慎重化した前回(6月)の記述が変更され、6月の雇用増加が大きかったことだけでなく、足許でlabor utilizationが幾分増加したとの評価を示した。この点は、失業率の低下が、労働参加率の低下のような後向きの要因よりも、雇用の全般的改善によるとの理解を示唆している。

主要な需要項目に関しても、設備投資が弱いとの評価を維持した一方で、家計支出の拡大が続いている点を指摘した。また、前回(6月)の声明文に含まれていた年初来の住宅市場の改善や輸出のマイナス寄与の減少に対する言及は、今回の声明文では削除された。FOMCとしては、いずれの方向であってもこれらの要素に変化したとの認識があれば、当然に声明文にそうした記述を盛り込むはずであるだけに、言及しなかったことは上下両サイドの意味でも大きな変化はないとの判断を示唆しており、その意味で“no news is good news“と受け止めるべきであろう。

これらを総括する形で、今回の声明文は経済活動が緩やかに拡大したと評価しており、モメンタムが高まったわけではないとしても、第1四半期の低迷からの回復過程にあると評価した前回(6月)に比べて、米国経済の安定感が増したとの印象を与える。

続いて、声明文の第2パラグラフでは、デュアルマンデートに関して、(1)経済活動の緩やかな拡大に沿って労働市場の指標は改善する、(2)インフレ率は当面は低位に止まる、(3)しかし、エネルギー価格や輸入品価格の過去の下落による一時的効果が減衰し、労働市場がさらに改善するにつれて、インフレ率は中期的に2%に向けて上昇する、というこれまでの見方を維持した。

その上で、今回の声明文には経済見通しに対する短期的なリスクは減少した(“Near-term risks to the economic outlook have diminished“)という新たな一文が加えられた。

この文が具体的に何を根拠とする判断であるかは、声明文だけからは必ずしも判然としない。ただ、前回(6月)のFOMCが開催された時点(6月15日)と現在を比較すると、米国の実体経済に関しては、既に見たように雇用の改善が勢いを取り戻したことが大きな変化であった。また、国際的には英国の国民投票の結果を受けて金融市場が不安定化する局面があったものの、少なくとも第1ラウンドとしては安定性を回復した-特に米国の金融市場では-ことが注目すべき展開であった訳である。

これらに照らすと、FOMCが短期的なリスクが減少したと判断することに一定の合理性があることは事実であろう。

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最終更新:7/28(木) 9:14

NRI研究員の時事解説

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