ここから本文です

松嶋菜々子、3年ぶり復帰作『吉良奈津子』は夏ドラマに一石を投じるか?

リアルサウンド 7/28(木) 6:10配信

 7月21日より、松嶋菜々子主演のドラマ『営業部長 吉良奈津子』(毎週木曜22時~/フジテレビ)がスタートした。初回の平均視聴率は、10.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。必ずしも前途洋々と言える数字ではないけれど、苦戦が続いている現在のフジテレビのドラマとしては、まずまずの数字と言えるだろう。

 松嶋菜々子が3年ぶりに主演する本作のテーマは、ズバリ「産後の職場復帰」だ。松嶋演じる主人公「吉良奈津子」は、かつて敏腕CMディレクターとしてならしたバリバリのキャリアウーマン。出産から3年を経た現在、彼女が職場へと復帰するところから物語はスタートする。当然のごとく、かつてと同じ部署で働けると思っていた彼女だが、配属されたのは「営業開発部」という聞き慣れない部署だった。「部長」というポストこそ与えられたものの、どこか覇気のない部下たち。新社長の肝いりで設置されながらも、ほとんど実績を残していない「営業開発部」は、会社にとってもお荷物的な有名無実の部署だったのだ。一方、かつて奈津子のアシスタントとして働いていた高木(松田龍平)は、今や会社のエース的なクリエイティブディレクターに出世を遂げていた。そんな困難な現実を前に、持ち前の行動力と押しの強さで、新たな営業先を開拓しようとする彼女だが、社内の人間をはじめ、周囲の人々の彼女を見るまなざしは、3年前とは大きく異なっているのだった。

 一般的に、産後の社会復帰の際に重要となってくるのは、会社側の受け入れ体制と、夫をはじめとする家族のサポートだ。その両者が協力的であることが、もちろん理想ではあるのだけど、なかなか現実はそう上手くいかない。ホンネとタテマエではないけれど、双方の間には微妙な感情のもつれがあり、場合によってそれは、決定的な障害となって立ちふさがってくる。一見すると、コミカルに描かれてはいるものの、本作の主人公・奈津子の周囲にいる人々の感情もまた、かなり複雑なものが見受けられる。原田泰造演じる奈津子の夫や、松原千智子演じる奈津子の義母といった「家庭」の人々から、石丸幹二演じるかつての上司や、松田龍平演じるかつての部下、そして新部署の面々といった「職場」の人間まで、彼/彼女らが奈津子を見る目は、どこか冷ややかだ。その奈津子役を、自身も3年ぶりの連続ドラマ主演となる松嶋菜々子が演じているというのも、何やら虚実入り混じった話ではある。彼女がかつて主演し、その最終回が40%という記録的な数字を残した『家政婦のミタ』の頃と比べると、テレビドラマをめぐる状況は、大きく変わっている。そこに奈津子=松嶋は、果たして一石を投じることができるのだろうか。

 女性主人公とバディ役の男性というのは、今季他のドラマでもいくつか見られる構図だが、その男性がかつての部下であるというのは、一風変わった設定と言えるだろう。ある意味、自らの仕事について誰よりも理解し合える存在でありながら、現在はライバルでもあるという複雑な関係性。その役を『あまちゃん』以来、久々の連続ドラマ出演となる松田龍平が好演している。そして、奈津子が率いる「営業開発部」に在籍する、ひと癖もふた癖もある社員たち。そこに、板尾創路、岡田義徳、DAIGO、中村アン、足立梨花など、かなり個性的な面々が並んでいるのも、今後の見どころとなっていくのだろう。そして、奈津子が用意した料理を息子に与えず、通りすがりのホームレスに渡すという、ある種異様な行動に打って出た、伊藤歩演じる謎のベビーシッターも、今後の物語の鍵を握る存在となっていきそうだ。

 ひとまずは、職場復帰を果たした主人公と、「家庭」および「職場」で彼女を取り巻く人々が、ひと通り説明された初回。第2話では、嫁の職場復帰を快く思わない義母の来訪、奇しくも競合他社をそれぞれサポートすることになり、早くも直接対決することになる奈津子と高木の関係性など、ますます波乱の展開が予想される。これは、あくまでも私見だが、どこか頭を切り替えて観ないことには、いささか厳しいドラマが思いのほか多いように思えるこの夏の連続ドラマにあって、数少ない大人の鑑賞に耐え得るドラマのひとつとして、今後も追っていきたいと思う。

麦倉正樹

最終更新:7/28(木) 6:10

リアルサウンド

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。