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南シナ海に基地もリゾートも、裁定を完全無視の中国

JBpress 7/28(木) 6:20配信

 中国政府は、南シナ海そして東シナ海への支配権を拡張するに当たって、「歴史的権益」をその正当性の主な根拠としてきた。しかし7月12日、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が、中国が主張している南シナ海における歴史的権益は国際法的には認められないという裁定を下した。

スカボロー礁、西沙諸島、南沙諸島、海南島の位置

 それに対して、中国政府やメディアはこぞって「裁定を受け入れない」、というよりは「常設仲裁裁判所にはそのような裁定をなす権限がないため、そもそも裁定なるものは無効であり、中国の立場には何の影響も与えない」との態度を表明している。

■ 戦闘空中パトロールを開始

 中国は裁定に対する様々な反論やプロパガンダに加えて、軍事的示威行動にも打って出た。

 7月18日、中国国営メディアは、人民解放軍空軍が発表した爆撃機による南シナ海での戦闘空中パトロールの写真を公開した。これは空軍の新鋭爆撃機「H-6K」がスカボロー礁上空を飛行しているものだ。時期が時期だけにきわめて挑発的な画像と言える。

 フィリピンのルソン島沿岸から220キロメートル沖合(フィリピンの排他的経済水域内)に位置するスカボロー礁は、中国本土沿岸からは900キロメートル以上離れており、中国軍用機の発着が可能な西沙諸島永興島(ウッディー島)からは600キロメートルほど東南に位置している。フィリピン、中国そして台湾が領有権を主張しているが、2012年に発生したフィリピン海軍艦艇と中国監視船による睨み合い以降、中国が軍事力を背景にした実効支配を強めている。

 今回の仲裁裁判所の裁定を完全に無視する中国は、南沙諸島同様にスカボロー礁でも埋め立て作業を開始するのではないかと考えられており、アメリカ政府は中国に対して警告を発している。しかし、先週中国で行われたアメリカ海軍と中国海軍のトップ会談では、中国側はアメリカの懸念を一切取り合わず、スカボロー礁を含む南シナ海九段線内は“中国の主権的海域”であるとの姿勢を維持することを再度アメリカ側に通告した。

■ 南シナ海で実質的なADIZを設定準備

 スカボロー礁上空をパトロールしたH-6Kは、中国空軍並びに中国海軍が長らく使用しているH-6型爆撃機の最新バージョンだ。強力なエンジンが搭載され、各種性能も向上し、対艦攻撃用ならびに対地攻撃用の新鋭巡航ミサイルも積載可能である。

 今回スカボロー礁をパトロールしたH6-Kには、巡航ミサイルは装着されていなかった(巡航ミサイルは主翼下のパイロンに装着される。ただし巡航ミサイル以外にも胴体内に爆弾を格納することは可能)。だが、H-6Kがスカボロー礁近辺まで進出してくると、フィリピンを拠点にするアメリカ海軍艦艇は危険にさらされるため、アメリカ海軍関係者たちは神経をとがらせている。

 中国当局によると、今後、人民解放軍は継続的に南シナ海で空中パトロールを実施し、H-6K爆撃機のみならず戦闘機、偵察機、そして空中給油機など各種空軍機をパトロールに投入するという。実際に、南シナ海上空では戦闘機による実弾射撃訓練なども開始された。

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最終更新:7/28(木) 6:20

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