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面白さ世界水準!脚本家・虚淵玄が“台湾発の人形劇”を語る

東京ウォーカー 7/29(金) 15:00配信

『魔法少女まどか☆マギカ』(11)、『仮面ライダー鎧武』(13-14)などアニメ、実写を問わず話題作を手掛ける脚本家・虚淵玄(ニトロプラス)。彼が総監修を務めた新番組の『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』(『サンファン』)は、台湾伝統の人形劇“布袋劇(ほていげき)”の武侠ファンタジーだ。しかし、今なぜ人形劇なのか? 虚淵へのインタビューから“スーパー人形劇”と称される布袋劇の魅力に迫る。

【写真を見る】毎回、派手なアクションとCG技術により、アニメや特撮とは異なる魅力的な映像美を見せつける

布袋劇のなかでも台湾の制作会社“霹靂國際多媒體股有限公司”(霹靂社)が手掛ける、きめ細やかな動きと流麗なアクションを人形で表現する霹靂布袋劇。CGも駆使した映像作品は底知れぬ魅力と可能性を秘めている。そんな布袋劇に虚淵が携わる経緯は、彼が台湾を訪れた2014年に遡る。「台北を観光中に偶然、布袋劇の展覧会に足を運んだんです。そこで見た人形の造形、美しさもさることながら、動作の生々しさと迫力に衝撃を受けました。布袋劇の存在は知っていたのですが、CGを駆使したり多彩な演出により、ここまで進化していたとは想像もできませんでした。帰国して、何か布袋劇の企画を提案したいと思っていたら、霹靂社さんから『一緒に(人形劇を)作りませんか?』と連絡を頂いいて、僕は『日本向けの新しい布袋劇を作りたい』とダメ元で伝えたら快諾して下さり、『サンファン』が誕生したわけです」

布袋劇との出会いは、虚淵が『仮面ライダー鎧武』をきっかけに“デジタルとアナログの境目”について考えていた時期と重なった。「アニメはいまデジタルによる表現が主流で、その可能性は歓迎すべきなのですが、同時にアナログの魅力を忘れてしまう寂しさも感じています。かつてアニメーターがセル画という制約に向き合い“何をどう描けばよいか?”という計算の蓄積がアナログの味というか旨味になっていました。布袋劇も“制約があればこその工夫”から来るアナログの旨味に溢れています。例えばキャラクターが刀を抜いて斬りかかる表現は人形の構造上とても難しい。ですが霹靂布袋劇では勝手に刀が飛び出してキャラクターの周囲をクルクル舞ってから手に収まる。そんな驚きのアクションが制約から生み出されました。また、霹靂布袋劇の世界では一人前に人形を操るのに修行が15年必要とされ、デジタル表現とは全く別の領域なんです」

展覧会で霹靂社の人形を見た際に「これは中華圏以外でも十分受け入れられるのでは?」と確信し、“日本向けの布袋劇”の制作に結実する。「人形のデザインが“無国籍”テイストなんです。霹靂社さんの布袋劇は映像的には中華風でも、魔界や悪魔について語られたり、設定が大河ドラマ調だったり、よく見ると無国籍っぽいんです。台湾で培われたそのテイストを尊重しつつ“日本らしい強み”を取り入れたのが『サンファン』です。例えば(ホビーメーカーの)グッドスマイルカンパニーの監修で、人形がより日本人に親しみやすく仕上がっています。布袋劇では女性の人形は切れ長の目で鋭さが強調されるのですが、『サンファン』のヒロイン・丹翡(たんひ)は日本のアニメ風に瞳を大きく表現しています。

他にも、台湾では1話90分の長尺で放送される布袋劇を、『サンファン』は“1話25分”で構築するなど、元々の魅力を損わさせず「日本人向けに敷居を低くすることを命題にした」と振り返る。「予備知識なしでも楽しめるファンタジーで、キャラクターは曲者ぞろいで各々が存在理由と向き合う。そんな王道のストーリーと深みある人間関係を楽しみながら、布袋劇の世界にのめり込んでもらえたら、“霹靂社の布袋劇を見たい!”という声が高まってくれたらと願っています。言葉やフォーマットの違いといったハードルを飛び越えて、布袋劇の素晴らしさは世界に通じると信じています。その一方で『サンファン』が台湾で受け入れられるか?という不安も正直あります。『サンファン』はSE、BGM、アフレコから伴奏まで音響監督が演出していますが、霹靂布袋劇は野外にて生伴奏で披露された歴史から、監督自ら音響も手掛けています。造形やフォーマット、音響の違いから“亜流”と捉えられるかもしれませんが、新しい表現を模索してきた霹靂社さんの挑戦の一環として、違いを楽しんでもらえたらと思います。『サンファン』は見た目は異なっても“これはこれであり”という、寿司がアメリカで違った進化を遂げたカリフォルニアロール“的な作品なんです」【取材・文/呉塵(ゴ・ジンカン)】

最終更新:7/29(金) 15:00

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