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学校不祥事の顛末 -児童の情報が入ったUSBメモリを紛失-(2)

教員養成セミナー 7/29(金) 11:00配信

「私に限って大丈夫」という 過信が招く個人情報の紛失事故

【今月の事例】
 A県教育委員会は、車上狙いの被害に遭い児童38人分の氏名、住所、成績、写真が入ったUSB メモリを盗まれたB町立小の女性教諭を同日付で戒告処分にしたと発表した。県教委によると、情報の流出は確認されていない。

 女性教諭は午後8時頃、自宅近くのコインランドリー駐車場に駐車し、洗濯物を投入するため鍵を掛けずに車を離れた。約10分後に近くのガソリンスタンドに到着した際、USBメモリや携帯電話などが入ったバッグが無いことに気付いた。携帯電話には児童の保護者の電話番号が分かる着信履歴が残り、同時に盗まれた別のバッグには児童の未採点のテスト答案も入っていた。個人情報を持ち出す際には校長の許可が必要だが、女性教諭は3学期の成績をつけるため、1月末から無許可で持ち出していたという。
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■“意識の低さ”に起因する不祥事

 今回は、公立小学校の女性教諭による個人情報紛失の事例です。昨今、こうした個人情報の盗難、紛失や流失などの事故が、たびたびマスコミを賑わしています。最も多いのは、校長の許可なく、職務上知り得た情報が入ったUSBメモリ等を持ち出し、それを車に置いたまま買い物やパチンコ等に興じ、盗難に遭う…というパターンです。共通するのは「車に鍵をしていれば大丈夫」「短い時間だから」「私に限って盗難されることはない」などといった過信です。そうした過信と情報管理の意識の低さが事故を招く要因となっています。

 教員採用試験でもたびたび問われる“職務上知り得た情報”を一体どのように考えているのでしょうか。これが一般企業であったとしたら、顧客等からの信頼を失い、状況によっては死活問題につながってしまうこともあります。そう考えても、教員の意識の低さは一般常識とかけ離れており、学校は組織体として、教員一人一人の意識を高めなければなりません。

 学校は子供たちの教育の充実、安全確保等のために、多くの個人情報を保持しており、しっかりと管理していくべき義務を負っています。特に注意が必要なのは、子供の個人情報です。この事例で唯一の救いは、情報の流失が確認できていない点で、これが生じた場合には、損害賠償問題に発展することもあります。


■信頼は法令遵守から

 教師には、職務上知り得た情報の守秘義務(地方公務員法第34 条)があり、それが個人的なものであろうが公的なものであろうが、在職中はもちろん、退職後も漏らしてはならないことになっています。故意に秘密を漏らしたわけでなくとも、個人情報の入ったUSBメモリ等を紛失したり、盗難されたりした場合も、結果としては同じことです。

 さらに、この学校では個人情報を持ち出す際、校長の許可を必要としていましたが、この教諭は許可を得ずに持ち出していました。仮に許可を得て持ち出したとしても、盗難や紛失することのないよう、肌身離さず持ち歩くなど、個人情報の重大さに最大限の注意を払う必要があります。

 本事例の教諭は、無許可での持ち出しであることから、「法令等及び上司の職務上の命令に従う義務」(地方公務員法第32 条)にも反していると言えます。懲戒処分として、戒告処分を受けるのは当然と言えるでしょう。教員は、法令等を遵守し、教育公務員としての責務を深く自覚して、「全体の奉仕者」として誠実かつ公正に職務を行わなければならないことを肝に銘じてほしいと思います。


※「教員養成セミナー2016年8月号」より

濱本 一(共栄大学教授/前埼玉県教育局市町村支援部長)

最終更新:7/29(金) 11:00

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