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DeNA・桑原、1番打者として増す存在感。発想転換で掴んだレギュラーの座

ベースボールチャンネル 7/29(金) 11:20配信

期待に応えられなかった昨年

「結果が出ないと悔しいし、けど結果ばかり求め過ぎてもいけない」

 横浜DeNAベイスターズの桑原将志は、一見矛盾するかのような思いを口にすると、次のようにつづけた。

「自分がやってきたことを出すことができるか。それを証明していきたいと思います」

 昨年とは異なり後半戦になっても息切れをせずクライマックスシリーズ争いを演じるDeNAにとって桑原は、今やなくてはならない1番打者である。

 一昨年の2014年のシーズンに台頭した桑原は、小柄ながら思いっきりの良さが魅力の選手である。当時プロ3年目だった桑原の登場は、チームにとって明るい未来を予感させた。だが更なる飛躍を求められた昨シーズン、思わぬ不振に陥り打率は1割台に低迷し、チームの期待に応えることができなかった。

 昨シーズン終了後に参加したフェニックスリーグで左手首を骨折してしまい、新しく就任したラミレス監督のもと行われた奄美大島の秋季キャンプには不参加。残念ながら来シーズンに向け最初のアピールの場を失った。

 二軍施設のある横須賀で、単身黙々とトレーニングを重ねていた桑原に、何故思うような活躍ができなかったのか尋ねてみると、次のような答えが返ってきた。

「昨年は何も考えずにプレーしていたんですが、今シーズン(2015年)はいろいろ考え過ぎてしまい自分らしいプレーできませんでした……」

 桑原の表情からは、何故そうなってしまったのか理解できていない戸惑いが見てとれた。この状況からどう脱すればいいのか――明確な答えを持ち合わせていない。

野球を俯瞰で見られるようになった今季

 そして2016年シーズン、開幕一軍に名を連ねた桑原は、関根大気や乙坂智といった同世代のライバルたちと外野のレギュラーを争うことになる。ケガにより関根の出遅れがあったが、桑原は右打者ということもあり、主に対戦相手が左投手のときにスタメン起用された。

 ラミレス監督が掲げた今年のチームオーダーは、ファーストストライクから積極的に振っていくこと。

 早いカウントでのバッティングに戸惑いを見せる選手が多い中、桑原は2ストライクと追い込まれる前に積極的にバットを振り快音を響かせた。チームが開幕ダッシュに失敗した3・4月には3割以上の好打率を残している。

 桑原の打撃フォームを一見するかぎり技術的な大きな変化は見られない。果たして、昨年と比べてアプローチにどのような変革があったというのか。

「相手のことを考えるんです」

 桑原は曖昧模糊とした昨年横須賀で話を聞いたときとは違い、確信をもった口調でつづけた。

「昨年までは自分のことばかり考えていたんですよ。気負ったり、ランナーがいようがいまいが“こういう球がきたらどうしよう?”とか余計なことばかり考えていました。練習中のバッティングは悪くないのに、試合ではそれが出せない。
で、気づいたんですよ、自分のことだけ考えて、ピッチャーのことを忘れていたんだって。野球はピッチャー主導で動くスポーツですし、バッターはピッチャーに合わせなくてはいけない。そこを完全に見失っていたんです」

 懸命に考え頭を使おうとしても視野の狭くなってしまい、それが成長を阻んでいた。桑原は今シーズン、打撃面においてピッチャーを中心に野球を俯瞰で見られるようになった。

「ファーストストライクを打ちに行くにしても、ピッチャーの狙い球を絞って、どのようにしてタイミングをとればいいのか。そういうことばかり考えるようになりましたね。いいピッチャーは追い込まれたら色んな球種で勝負されるので、早いカウントから勝負していかないといけない」

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最終更新:7/29(金) 20:17

ベースボールチャンネル