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映画『ニュースの真相』:真実にすべてをかけたジャーナリストの生き様を描く

ローリングストーン日本版 7/29(金) 15:00配信

ブッシュ大統領が再選を目指していた2004年。テレビプロデューサーのメアリー・メイプス(ケイト・ブランシェット)は、彼女が手がけるドキュメンタリー番組『60ミニッツ ll』でブッシュの軍歴詐称疑惑をスクープして世間に衝撃を与えた。

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ところが、保守派のブロガーが、スクープの証拠となった"キリアン文章"を偽造と主張したことから流れは一変。メアリーやベテラン・アンカーマン、ダン・ラザー(ロバート・レッドフォード)は、世論の激しい攻撃にさらされることになる。

実際にあった出来事を映画化した『ニュースの真相』の原題は『Truth(真実)』。真実を巡ってメディアと権力が激しく火花を散らす。レッドフォードが出演していることもあって『大統領の陰謀』を彷彿させるところもあるが、メディアが勝利を収めた『大統領の陰謀』に比べて本作には苦い後味が残る。今や大企業に牛耳られ、視聴者のニュースへの興味も低下したメディアの世界。視聴率が稼げないニュース番組は他社のスクープを報道して、大衆に迎合したセンセーショナルなネタでお茶を濁す。メディアが"マスコミ"から"マスゴミ"へ劣化していく状況のなかで、いつしか軍歴詐称問題は論点がすり替えられ、メアリーやラザーは疑惑のスケープゴートにされていく。それでも信念を貫くふたりを、ブランシェットとレッドフォードが力強く熱演。

最後まで報道の重要さを信じ続けた人々の栄誉ある敗北を描いた本作は、メディアの萎縮が問題になっている今の日本でこそ観られるべき作品だ。劇中のラザーのセリフ、「どんなに批判されても(メディアが)質問をしなくなったらこの国は終わりだ」という言葉を胸に刻みたい。


『ニュースの真相』
★★★

監督/ジェームズ・ヴァンダービルト
出演/ケイト・ブランシェット、ロバート・レッドフォードほか
8月5日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開
http://truth-movie.jp

(C) 2015 FEA Productions, Ltd. All Rights Reserved.

Yasuo Murao

最終更新:7/29(金) 15:00

ローリングストーン日本版

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