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今年も不漁で値上がり必至、ウナギはいつまで食べられる?

JBpress 7/29(金) 6:10配信

 「6年連続不漁による値上げのお願い」

 サラリーマンで賑わう東京・新橋にある老舗ウナギ屋の店内には、値上げへ理解を求める張り紙がされていた。今年6月から梅(並)を1300円から1500円に、特上は3600円から4200円に値上げした。「今期はシラス(ウナギ)1キログラムあたり300万円での売買もあり、養鰻業者は値上げせざるえない状況で、当店も値上げさせてほしい」と説明する。

 ここ数年は店頭価格が“うなぎ上り”というニュースが、定期的に出るという状況が続いている。果たして、われわれはいつまでウナギを食べることができるのか。7月30日の土用の丑の日を前に、ウナギを巡る状況を見てみたい。

■ 2015年から養殖に上限、遅すぎる規制

 1000年以上前から日本人の夏のスタミナ源として愛されているウナギ。万葉集にも「石麻呂に 吾物申す 夏痩せに 良しといふ物ぞ 鰻漁り食(とりめ)せ」(大伴家持)と歌われている。

 日本から2500キロ離れたマリアナ海溝でニホンウナギは産卵し、黒潮に乗って日本を含む東アジアで生育し、また産卵のためにマリアナ海溝に戻るとされるが、詳しい生態はいまだ分かっていない。

 全体の0.5%程度の天然もの以外は、自然界から稚魚にあたるシラスウナギを採取し、養鰻業者が養殖して出荷される。そのシラスウナギの漁獲高が年々減少しているため、養殖ウナギの値段が高止まりしている状況だ。

 水産庁の推計では、シラスウナギの漁獲高は1963年には232トンをピークに減少傾向にあり、2016年には13.6トンと20分の1近くまで落ち込んでいる。今年も、全国的にシラスウナギの不漁が続いた。鹿児島県では、許可漁獲量を昨年から43キログラム減の1927キログラムに設定。それでも、例年より1カ月短い漁期で漁りきってしまった。

 海洋環境の変動、生息環境の悪化、無秩序な乱獲などが減少の原因と指摘されるが、確定的なことはまだ分かっていない。それでも、乱獲の責任が大きいというのは関係者の一致するところだ。2014年には、世界の科学者らで組織する国際自然保護連合(IUCN)が、絶滅の恐れがある野生生物を指定する「レッドリスト」にニホンウナギを加えた。

 水産庁は、ようやく2015年からウナギの養殖に関する指定制度を導入。養鰻業を許可制にし、養殖池で育てる稚魚の量の上限を過去3年の平均量までとした。また、産卵に向かうために河川から海に下る時期(10月~翌年3月)の、ウナギの採捕禁止や自粛要請などに取り組むことを決めた県も現れた。

■ 現在の供給量はピークの4分の1

 そもそも、ウナギは専門店で食べる“ごちそう”だったはずだが、1990年代からスーパーマーケットや牛丼チェーン店などで安価に食べられるようになった。

 背景には、世界のウナギ消費の7割を占めるとされる日本の消費者に向けた、国内外の流通ルートが整備されたことが大きい。国内供給量のピークは2000年の約16万トンで、8割以上が輸入品だった。養殖地である中国では、日本への輸出を目的としたヨーロッパウナギの養殖が急成長した。

 しかし、2007年にヨーロッパウナギが野生動植物の国際取引を規制する「ワシントン条約」の対象になり、2009年に貿易規制が始まると、日本への輸入量も激減。2014年のウナギの国内供給量は、輸入が2万トン、国産が1万8000トンで、ピーク時の4分の1程度にまで落ち込んでいる。養鰻業者も、1997年の651から2013年には384に減っている。ウナギ不足が本格化した2000年代後半には、老舗ウナギ屋が相次いで廃業した。

■ ウナギはたれの味が転売を助長? 

 一方で、大手スーパーマーケットや飲食チェーンなどは、中国や台湾に契約業者をもち、流通から加工まで一貫したルートを確保している。同時に、中小のスーパーや弁当屋などは、大手で使われなかったウナギが“転売”されるルートも整備されている。

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最終更新:7/29(金) 11:10

JBpress

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