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裁定買い残急減の原因は「解消売り」ではない

会社四季報オンライン 7/29(金) 21:06配信

 「海外投資家の先物売りで裁定解消が進み日本株を圧迫してきたが、裁定買い残(裁定取引にかかる現物の保有残)は歴史的な水準まで減り、今後は彼らの先物買いが裁定買いを呼び、日本株を押し上げる方向に作用するだろう」との論調を目にする機会が増えた。

 確かに、裁定買い残は異様な減り方を見せた。裁定買い残の昨年のピーク、年末そして直近のボトムはこうなっている。

 今年に入ってからの急減ぶりがすごい。リーマンショックで日経平均が歴史的な安値7054円を付けたのは2009年3月10日。その14営業日後の3月27日の裁定買い残は4851億円で、7月8日の水準はそれ以来ということになる。ちなみに、当時の裁定買い残のボトムは同年2月20日の2538億円だった。

 今年に入ってから半年余りで2兆7000億円超、17億株強減少したとあって、さぞかし裁定解消売りが下げ圧力になったと想像されるのは当然かもしれない。

 東証はホームページで「プログラム売買・裁定取引」として逐次データを公開している。プログラム売買とは「一度に25銘柄以上の銘柄を売買すること」と定義されている。日経平均株価に採用されている225銘柄をいっぺんに取引すれば、当然ながら「プログラム売買」である。

 内外の機関投資家(顧客)が一度に50あるいは100銘柄を超える売買を証券会社に発注することは珍しくない。これを「バスケット売買」という。その銘柄は顧客によってさまざまだ。発注を受けた証券会社は顧客の注文が売りなら自己売買部門で買い受けると同時にリスクヘッジのために先物を売る。自己売買部門は現物を保有すると同時に、それに相当する先物の売りというポジションを抱えることになる。裁定の買いを行ったのと同じような結果になる。

 一方、東証が週間ベースで発表する「プログラム売買・裁定取引」では裁定取引にかかるプログラム売買と、同取引以外のプログラム売買が区別されている。後者の代表的なものがバスケット売買なのである。「裁定買い残」という呼称からすべてが裁定取引にかかるものと受け止められているようだが、実はそうでないのだ。

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最終更新:8/3(水) 11:21

会社四季報オンライン