ここから本文です

アイスバケツチャレンジから2年、ALS研究に画期的成果

Forbes JAPAN 7/30(土) 12:30配信

バケツに入った氷水を頭からかぶり、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の支援を訴えるアイスバケツチャレンジは、もう遠い昔のことのように感じる。しかし、このキャンペーンを通じて集まった寄付金による数々の研究は、成果を出し続けている。



米ALS協会は7月25日、研究者たちがALS発症に関連のある遺伝子を特定したと発表した。これは、アイスバケツ・チャレンジで集まった寄付金によってもたらされた3つ目の重要な研究成果だ。

アイスバケツチャレンジでは、これまでに1,700万件もの動画がインターネットに投稿された。マサチューセッツ大学医学部のプロジェクト「MinE」は、このチャレンジを通じて集まった1億1,500万ドル(約120億円)のうち100万ドル(約1億円)を受け取り、この資金を使ってALSの発症に関わる遺伝子「NEK1」を特定した。今後これが治療法の研究における新たなターゲットとなる。

米ALS協会によれば、NEK1はALSの原因となる遺伝子としては最も一般的な部類に入る。全ALS患者の3%の発症に関連があるが、孤発性および遺伝性のALS患者の両方に確認される。

「アイスバケツチャレンジに貢献した全ての人の寄付が、研究に影響を及ぼしたことを示す成果だ。素晴らしい」と、米ALS協会のブライアン・フレデリックは英ガーディアン紙に語った。「プロジェクトMinEの取り組みはきわめて重要なものだ。この新たな遺伝子の発見は、ALSの理解を深める上で役に立つだろう」

ALSは、脳と脊髄にある神経細胞が徐々に壊れていく変性疾患。患者はALSと診断されてから2~5年以内に自発呼吸ができなくなり、死に至る。治療法はなく、同協会によれば10万人に2人の割合で発症する。

アイスバケツチャレンジを通じて、全米で250万人から寄せられた寄付金のうち7,700万ドル(約80.7億円)がプロジェクトMinEのような各種研究に充てられている。同チャレンジにはビル・ゲイツなどの大富豪、ステファン・カリー選手(バスケットボール)などのアスリートをはじめ、1963年にALSと診断された理論物理学者スティーブン・ホーキングなど幅広い人が参加した。

アイスバケツチャレンジについては、水の無駄遣いで無意味な「スラックティビズム(大きな労力や出費を伴わない自己満足的な社会運動)」だという批判の声もあった。また、氷水の冷たさにあえぐ人々の動画がALS自体への注目を薄れさせるのではという懸念や、実際の寄付につながらないのではという懸念の声もあった。

あれから2年。今回の画期的な成果は、それらの批判的な見方が間違っていたことを証明してみせた。

Emily Canal

最終更新:7/30(土) 12:30

Forbes JAPAN

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Forbes JAPAN 2017年1月号

株式会社アトミックスメディア

2017年1月号
11月25日(金)発売

890円(税込)

Forbes ID 無料会員登録を受付中!
今ならもれなく電子版最新号をプレゼント

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。