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大谷翔平に期待してしまう”究極”のリアル二刀流――日本ハム大躍進最大の原動力【小宮山悟の眼】

ベースボールチャンネル 7/31(日) 10:40配信

驚異的な勝率をあげて、ソフトバンクに肉薄

 パリーグ2位の日本ハムが、首位のソフトバンクを猛追している。交流戦明けの6月25日から7月28日までの成績は、23戦20勝3敗。勝率8割7分という驚異的な数字を残している。

 その大躍進の最大の原動力は、なんといっても大谷翔平の活躍だろう。投手として、そして打者としてチームをリードした。

 この期間中、投手としては4試合に登板(うち先発3試合)し、2勝をマーク。防御率は1.21だった。また、打者としては43打数17安打、打率.395を記録。7月10日のロッテ戦で、指のマメが破れて降板するという小さなアクシデントはあったものの、素晴らしいとしか言いようがない数字を残した。

 日本ハムの栗山監督は、5月29日の楽天戦から、大谷が先発登板する試合ではDHを解除し、大谷を打席に立たせる采配を振っている。いわゆるリアル二刀流と言われる起用法だ。

 中でも、日本ハムが2-0で勝利した7月3日のソフトバンク戦は圧巻だった。大谷は「1番・投手」として出場。プレーボール直後の初球を打ち返し、右中間スタンドへ叩き込んだ。見事な先頭打者アーチだった。
 投げては、強力なソフトバンク打線を相手に8回零封。まさに、自ら打って自ら抑えるという二刀流の醍醐味が凝縮されたような試合だった。

 大谷が二刀流を成功させたことに関しては、ファンの方も大喜びだろうし、個人的にもうれしく思う。二刀流に挑戦すると表明した当初は、あれだけあった批判的な声も、最近は聞かなくなった。

 2014年には史上初の2ケタ勝利&2ケタ本塁打の達成。15年は投手として最多勝、最優秀防御率、最高勝率のタイトルを獲得したが、打者としての成績は前年を下回った。ところが今年は、打者としてもチームの中心選手として活躍している。

大谷翔平の魅力

 まず先発としてローテーションを守りながら、徐々に野手としての出場機会を増やしていく。そういう起用法が実を結んだわけだ。そして今年はついにリアル二刀流も実現した。

 一部では、このリアル二刀流を、「完成形」と見る意見もあるようだが、私はそうは思わない。まだまだ進化の余地はあるだろう。

 私が考える理想のスタイルは、大谷がワンポイントの中継ぎ投手を務めることだ。

 通常時は外野手(現在の日本ハムの外野手布陣ならライトが妥当か)として出場。味方が、たとえば二死満塁などのピンチを迎えた場面で登板し、相手を抑え込む。その後はライトのポジションに戻り、また自軍が危ない場面になったらマウンドに登る。そういうスタイルだ。

 この起用法なら、投手として各試合でアウトを一つ程度取るだけなので、年間140登板という、とんでもない記録が生まれるかもしれない。

 ほとんどすべての試合を、攻守にわたって支配・コントロールできるという意味では、これぞ究極の二刀流ではないか。

 ライトからマウンドに向かい、ピンチの場面を抑えて、ライトの守備位置に戻っていく。何とも格好良いシーンではないか。想像しただけで興奮してきてしまう。

 もちろん簡単に実現するとは考えていないが、決して夢物語ではないとも思っている。先ほども言ったように、大谷には、当初あれだけ無謀と言われた二刀流に挑戦し成功させた。いわば野球界の常識を超えた存在なのだ。

 大谷なら、やれるのではないか――。

 そう思わされてしまう点が、彼の最大の魅力かもしれない。
 見る側の想像力を掻き立ててくれる選手。だからこそ、大谷翔平は日本球界の宝なのだ。

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小宮山悟(こみやま・さとる)

1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。


田中周治

ベースボールチャンネル編集部

最終更新:7/31(日) 10:40

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