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野田洋次郎、苫米地英人と対談:音楽や詞、人工知能、宗教などについて語る

ローリングストーン日本版 7/31(日) 14:00配信

ローリングストーン日本版2016年6月号 アーカイヴ・インタヴュー
特集:言葉

対談:苫米地×野田洋次郎

【写真あり】野田洋次郎、苫米地英人と対談:音楽や詞、人工知能、宗教などについて語る

かつて、脱洗脳のスペシャリストとしてオウム事件の捜査に貢献した認知科学者・苫米地英人。数百本に及ぶ稀少なヴィンテージ・ギターのコレクターでもある彼のオフィスにて、2人は音楽や詞、人工知能、宗教などについてインテレクチュアルな会話を展開。そして最終的に、ギター・セッションまで繰り広げられたのだった――。

―事前に、苫米地さんにはRADWIMPSや野田さんのソロ作の音源を聴いていただきましたが、率直にどう思いましたか?

苫米地(以下T):野田君はモーツァルトと同じように抽象空間の理解に長けていることがわかったね。モーツァルトは倍音の成分にも気をかけて作曲していたから、無意識的に高周波数の音を入れていたんだよ。つまり、目に見えない空間を音楽にしていたんだけど、野田君も抽象度の高い空間を描きたいんだなと。で、これからはそこにプリンシプル(原理)がわいてくると思う。それは今のところ、人間にしかできないこと。その意味で人工知能はまだ人間の奴隷だね。

野田(以下N):人間と人工知能の関係が今後、逆転することもあり得るんですか?

T:人間の脳神経細胞の反応を超えるコンピュータは間もなく登場するはず。

N:人間が備える抽象性も、コンピュータはだんだん持ち始めるんですか?

T:うん。だから、野田君は音楽を通してコンピュータに超えられない人間になっているけど、抽象空間の臨場感がわかるだけじゃなくて、それを"操作"できなきゃダメなんだよ。しかも、細かく設計する部分と感性でガッとやる部分が必要。そうやって操作すればするほど、抽象度が上がっていく。そうなった状態を機械の世界ではヒルクライミングと呼ぶけど、80年代にグレゴリー・チャイティン【注1】がその状態になった生物は意思がなくても進化することを証明したんだよ。生物が減数分裂【注2】していく中でDNAにミューテーション(突然変異)が起きて・・・というのが従来の理論だったけど、遺伝子ではなくルールのほうにミューテーションが起きると。ただ、彼の理論には疑問が残る部分もある。だって、魚が最初に陸に上がったのは、やっぱり強い意思の力があると思うからね。それと、陸に上がる前の魚は弱肉強食の環境で巨大化していたので、ダーウィンの進化論は退化に見える。猿の毛がなくなって人間になるとか、水の中の魚が陸に上がるとか、バカみたいじゃん(笑)。

N:確かに(笑)。でも逆に、その魚は"一匹の天才"だったりもするんですか?

T:そうだね。俺が教えているコーチング【注3】の話をすると、「陸に上がるんだ」という一匹の天才の魚がいて、周りに大体それを止められるんだけど、「君にはできる」と言ってくれるもう一匹がいると。進化する中で生命現象のルールという抽象空間に臨場感を覚えたとしても、次のステップでそれを操作するには"コーチ"がいないとできないんだよ。

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最終更新:7/31(日) 14:00

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